奇跡の大逆転で2大会ぶりに金メダルを獲得した体操男子団体。日本代表の強さの秘訣はなんなのか、バルセロナ五輪銀メダリストの池谷幸雄さんが解説します。

2大会ぶりの金メダル獲得!“体操王者”日本代表のココがすごい

小笠原亘キャスター:
「日本のお家芸」と言われている体操男子団体が2大会ぶりの金メダルを獲得しました。メンバーは“期待の新星”岡慎之助選手(20)、“着地王子”谷川航選手(28)、“失敗しない男”萱和磨選手(27)、“あん馬と鉄棒のスペシャリスト”杉野正尭選手(25)、“絶対的エース”橋本大輝選手(22)の5人です。

体操の男子団体は、5人のうち種目ごとに3人が演技をして合計点を競います。つまり、18演技ということになってその合計点を競うということになります。

「大逆転」と言われていますが、どれだけ大逆転だったか中国との得点差を表にしてみました。「ゆか」の演技からスタートし、6種目のうち3種目「つり輪」終了時で中国が1位でしたが、日本はメダル圏外の5位。

バルセロナ五輪 体操男子団体銅メダリスト 池谷幸雄さん:
種目によりすごく得点がとれる種目があります。「跳馬」などが入っていると得点が跳ね上がるので、それで順位が浮き沈みするときがあります。

しかし、日本は少し失敗もあったので5位まで下がっていたというのもあります。中国がずっと上位にいたというのは、失敗していないからというのがあります。

小笠原キャスター:
日本は4種目目「跳馬」で4位に浮上し、5種目目「平行棒」で2位に浮上しましたが、1位の中国との差は3.267差。これはどういう差と考えたらいいですか?

池谷幸雄さん:
普通にやれば絶対覆らない、そのままの順位でいってしまう点差です。これがひっくり返った試合をほとんど見たことがない。それぐらいの点差です。東京オリンピックの金メダルと銀メダルの差は0.1ですから。それと比べると3.267差というのはものすごい大きな差です。

小笠原キャスター:
そんな中で、池谷さんが厳選した「金メダル奪還ポイント」をいくつか選んでもらいました。まずは「“ピタリ”着地がすごい!」です。

池谷幸雄さん:
やはり、「着地を止める」というのが大事で、ただ止まったらいいのではなく、止まっていても膝よりも頭が下がってたら0.1、膝よりもお尻が下につきそうなぐらい下がったら0.5減点。そこまで細かく全部減点する、というルールに変わりましたので。

ホラン千秋キャスター:
「美しい着地でなければ認めません」ということですか。

池谷幸雄さん:
姿勢が高く、足もそんなに開かず、つま先を動かさないでかかとを閉じられないと0.1減点になります。足が肩幅より広く着地してしまうと、0.3減点です。

井上貴博キャスター:
中国と比べても日本の着地のレベルは高いんですか?

池谷幸雄さん:
日本の方がよく止まってました。そういうところで点数を稼いでいます。Dスコアでは絶対かなわないところがたくさんあるので、それを「着地」で補ったというのが素晴らしいです。