日本とフランスの柔道の違いは?

井上貴博キャスター:
日本の柔道とフランスの柔道の違いや、進化しているとか感じるところはありますか。

溝口紀子さん:
日本は逆に教育的なところがなくなりつつあります。総括されて選手やオリンピックなど、競技の方に注目されています。フランスの柔道は、そういうことよりも“子どものしつけ”、道徳の一つとして始めることが主流です。

例えば、自制心や尊敬、礼節、自分自身をコントロールするという、日本の武士道精神とフランスの騎士道精神がうまく調和されていると思います。

ホラン千秋キャスター:
何がきっかけで柔道がフランスで広まったのでしょうか。

溝口紀子さん:
歴史的には1930年ごろから、日本との文化史の交流が始まっていて、その先陣で川石酒造之助という日本人が日本の柔道を教えるために、例えば「大外刈り」や、「背負い投げ」など技がわからないので、「背負い投げを1番」「大外刈りを2番」というふうに技に番号をつけて覚えさせたり、級も色帯にして白帯、黄色帯から黒帯まで昇段できるようなシステムにしたり。

井上キャスター:
それまで色帯というのはなかったんですか。

溝口紀子さん:
ビリヤードの球の色からアイディアが浮かんだ、など諸説ありますが、川石酒造之助さんが始めたのではないかという説があります。

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<プロフィール>
溝口紀子さん

バルセロナ五輪柔道女子銀メダリスト
元女子柔道フランス代表コーチ
スポーツ社会学者(大学教員)
前静岡県教育委員長