■「核兵器の使用はないと分かりました」

ともあれ、クリミアが攻撃されて初めて、一般のロシア人が戦争を意識したのではないだろうか。アレストビッチ大統領府長官顧問は私たちのインタビューにクリミア攻撃についてこう述べた。
  
アレストビッチ大統領府長官顧問
「ロシア人はやっと戦争が行われているとわかった。クリミアを早く去ろうとする人でクリミア橋への道や橋が大渋滞している。平穏なまま戦争が行えないことが十分わかっただろう」

ロシアが併合したと主張しているクリミア。つまりロシアにとっては、ここはロシア領だ。ロシアはこれまで自国の領土への攻撃には、核兵器の使用もほのめかしていた。現在の状況にその危険性はないのだろうか。

アレストビッチ大統領府長官顧問
「6か月がたった今、戦争の形が明らかになって核兵器の使用はないとわかりました。ロシア側が何度も使用しないと宣言してきた。(使用したら)ロシア側がすぐにやられると分かっている。アメリカが参戦してロシア軍は1週間後には残っていない状態になります。」

アレストビッチ大統領府長官顧問は自信を持ってロシアの核使用はないと断言する。しかし本当にウクライナの思惑通りに行くものなのだろうか・・・

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「そもそもバイデン大統領はハイマースすら供与したくないと言っていた。それはロシアを刺激すると何をするか分からないからだった。アレストビッチさんのこの発言はこれに対応するもので、ロシアは核をそんなに簡単には使えないでしょ。現にクリミアに反撃しても使ってこないでしょ。ロシアの破滅につながりますから。だからヘルソンも、ザポリージャも攻撃しても大丈夫なんだ、というのが、ウクライナが一生懸命見せようとしていることなんです。これに対しアメリカもヨーロッパも本当に大丈夫なのか?とは相当思っているんだと思いますが、少なくともそんなことをするんだったら軍事援助しないぞということにはなっていない。ただロシアがこの先も何をするか不確定要素が非常に大きいので決して楽観はできない」

(BS-TBS 『報道1930』 8月22日放送より)