ロシアの軍事侵攻で、歌劇場の閉鎖や国外避難などを強いられ、ダンサーが散り散りになってしまったウクライナの国立名門バレエ団。「また一緒に踊りたい…」日本人の副芸術監督の尽力によって、ダンサーたちの願いは、この夏、日本で叶うことができました。
■名門バレエ団 日本で再会 祖国の平和願い舞う

7月上旬、群馬県前橋市でレッスンに励むのは、ウクライナの国立名門バレエ団、「キエフ・バレエ」です。
ロシアの侵攻後、初となる海外ツアーを実現させたのが、キエフ・バレエ副芸術監督の寺田宜弘さんでした。
キエフ・バレエ副芸術監督 寺田宜弘さん
「今後のウクライナの芸術がなくなってしまう可能性があるんですね」
ロシアの軍事侵攻によって、バレエ団が拠点とするキーウの歌劇場は、閉鎖。ダンサー120人のうち90人が国外への避難を余儀なくされました。
寺田さんは、バレエ団の副芸術監督を務めています。

11歳でキーウにバレエ留学し、卒業後、「キエフ・バレエ」のダンサーとして、活躍し35年間、キーウで暮らしてきました。
寺田さん自身もヨーロッパへ避難しながら、散り散りになったダンサーや生徒たちがバレエを続けられるよう支援。
「ダンサーが同じ舞台に立てるように」と、今回避難中のダンサー22人の来日が実現しました。

キエフ・バレエのダンサー
「また日本に来ることができてうれしい」
キエフ・バレエ副芸術監督 寺田宜弘さん
「戦争がはじまって、はじめて、キエフ・バレエ団として、一つになって、舞台の上に立つというのが日本なんです」
レッスンを約4か月ぶりに再開したダンサーたち。わずか10日程の練習で本番です。
家族を残したまま、避難したダンサーも多くいますが、「バレエ」を通じ、できることを精一杯やろうと決意しています。
キエフ・バレエ芸術監督・エレーナ・フィリピエワさん
「私たちは武器を持っていないので戦うことができません。芸術を通じて私たちの使命は何なのかを見せたいです」