チームを引っ張ってきたのは、速球の威力十分の冨山(とみやま)くん。
ストレートのキレで勝負する種市(たねいち)くん。
コースに投げ分けるコントロールが持ち味の城倉(じょうくら)くんの3投手。
3人のピッチャーをリードするのがキャッチャーの黒澤(くろさわ)くんです。

■背番号2 黒澤寛大(くろさわ・かんた)選手
「3人とも個性が豊かで面白いキャラがそろっているので それをうまく引き出すのが自分の役目で(3人の気持ちが)落ちるときは極端に落ちてしまうので どうやって声をかけるかとか 怒らなきゃいけないときは怒らないといけないので大変だったかなと思います」
去年、2年生の夏から正捕手を務める黒澤くん。
3人のピッチャーもさぞかし頼りにしているのかと思いきや…。
■背番号10 種市晃己(たねいち・こうき)選手
「黒澤は甘えがちなので(笑)でも野球しているときとのメリハリはね」
■背番号1 冨山信希(とみやま・のぶき)選手
「頼りないっすよでも(バッテリー陣を)引っ張っていってくれているので そこは黒澤を信用してやらなきゃいけないなとは思います ピッチングのこととか抑え方とか大事なこととかは常に話すようにしています」
黒澤くんと3人のピッチャーの絆の強さを示すものがあります。
黒澤くんの野球ノートです。

3人の投手それぞれの長所や特徴を分析するために、練習や試合で感じ取ったことを書きつづってきました。
試合のベンチにもノートを持ち込み、自分たちの課題などを書き込んで強いチーム作りを目指してきました。
■黒澤寛大選手
「ここはこうするべきだったなとか 思ったことを常に試合中は書いたりしています ベンチに行くと安心できる材料(ノート)があるので つけてて良かったなと思います」
いつしか、ノートは、黒澤くん自身の気持ちを奮い立たせる存在になっていました。
■黒澤寛大選手
「長野県ナンバーワン捕手という目標を立てたんですけど そうなるためにこのページは自分の目標を見失ったときにどうしたらいいのか 再度考えさせられるきっかけです」

今年の春先は、思うような結果が残せなかった黒澤くん。
チームも勝ちきれない日が続く中でも決めた「長野県ナンバーワン捕手」という目標。
固い決意のもと、チームを甲子園出場に導くため臨んだのがベスト8進出をかけた赤穂高校との一戦です。
都市大塩尻は、3回ノーアウト2・3塁から2点を先制します。
しかしその後エースの冨山くんが相手打線につかまり、3点を失い3対3の同点で終盤へ。
7回からマウンドに上がった城倉くんもヒットなどで2アウト満塁のピンチを招くと…。
最終回に重い重い2失点を喫します。
2点をリードされ、迎えた都市大塩尻の9回裏の攻撃。
ワンアウトランナーなしでバッターは、黒澤くん。
ヒットで出塁し、あとを仲間に託します。
しかし得点はならず。
都市大塩尻はベスト16で姿を消しました。














