絶妙な芝居 「二宮くんは本当にすごい」
——二宮さんとの共演はいかがですか?
僕はシーズン1から変わらず、高階は天城先生とは違う信念を持っていて、そこで対峙することによって天城先生が光ると思っています。シーズン2でも、僕は負けていたほうがいいんです。高階の思うような未来はなかなか現実には来なくて、圧倒的な主義を持った先生を前にして、打ちのめされてしまうという。そこが本当にやっていても面白いし、やっぱりこれは二宮くんの作品だと僕は思うので、いかに二宮くんを生かせるかというのは考えて演じていますし、ドラマって主演あってのドラマだと思っているので。高階の作品ではない。自分の役目をそう理解しています。
——天城先生を演じる二宮さんについて、現場で新発見されたエピソードなどはありますか?
僕は二宮くんは本当に絶妙なお芝居をするなと思っていて。渡海は白いご飯を食べて、卵かけご飯が好きでしたよね。でも天城はご飯が嫌い。「俺はパン派だから」っていう。それを芝居で、全体を通してそう思わせるすごさというのは感じていますね。天城といえばやっぱりパンなんですよね。朝食もパンだろうな…とか、もしかしたらワインとクロワッサンとか、クロックムッシュも食べてそう、と思わせるのはすごいと思うんです。そこは絶妙ですよね。渡海はご飯だけど、天城はパンなんですよ、どう考えても。彼のセリフ回しから、手術での立ち居振る舞い、人に対する接し方、距離感。どう考えてもパンなんです(笑)。見てくれた方には分かっていただけると思います。それを芝居で表現している二宮くんが本当にすごいと思います。
高階との共通点 その時々で最善を尽くす
——高階は「必要ならルールを変える」というような指針を持っていると思いますが、小泉さんご自身が持っている自分のスタイルやこだわりがあれば教えてください。
こだわりというより、僕は逆にあまり言葉にとらわれないことを意識していますね。例えばですが、恋愛も仕事観も、僕ら人間はけっこう言葉にとらわれてしまうと動きづらくなってしまう。なのでニュートラルでどっちにでも動けたり、考え方もいろいろあるので、そこはすごく大事にしています。高階の考えは、僕はすごく好きなんです。必要ならばルールは変えるって、どの業種でも必要なことだと思うし、そこがものすごくニュートラルな人じゃないと、その発想って出ないと思うんですよね。高階は高階で野心はあっても、「自分のため」という野心ではなくて、多くの人の命を救うためには最新医療機器が必要で、そのためには自分も権力闘争しなければいけない。偉くならなければ多くの意思決定はできないので。
——そうした高階の姿勢に、共通点も感じていらっしゃいますか?
高階と共通している部分だなと思うのは、難しいですが、その時のベストを尽くす、最善を尽くす、と。その「最善」というのも、時代や年月とともに変わってくるじゃないですか。過去にとらわれるのでもなく、未来を生きるのでもなく、今を生きる。だから、今を生きている高階がすごく好きです。そういう意味では、僕も今を生きるということは意識しているかもしれないですね。きっと人間は過去を引きずったり追いかけようとしたり、はたまた未来にも、「いつかこうなるんだ」みたいに夢を見たり。そうではなくて、「今」なんですよね。あまり言葉を意識してしまうと、過去とか未来を生きることになってしまうので。今を生きるために、言葉にとらわれすぎない。ずっと何かにがんじがらめにされちゃうと、身動きも取れないですしね。