「ITSUMO」開設の経緯
「ITSUMO」がオープンしたのは4年前。
支援リーダーの上田志保さんによると開設のきっかけは、他の生活介護事業所で、人と関わることは好きだけど、パズルのようなことばかりしていた利用者が、たまたま他の利用者をたたいてしまったことだということです。職員が止めようとすると、その利用者は「自分のことを人がかまってくれるんだ」として余計そういう行動が増えてしまい、その事業所では対応できない、となって居られなくなったそうです。上田さんは、そういう人の受け皿を作ろうということでITSUMOの開設に至りました。
その利用者は、御用聞きの草刈りなどを担当していますが、仕事をして、地域の人に感謝されるといった体験を積み重ねているうちに、そういう行動はほとんどなくなったということです。
上田さんは、「ITSUMO」のスタッフ(利用者)との接し方について「同じ職場で働く同僚として接してるっていうのは、とても大きいかなって思ってます。その上で、同僚がもしこういう行動をしたら止めるであろうというところは、スタッフの場合も止めたりとか、ここは自分でできるであろうっていうところをどんどん伸ばせるようにする。もちろん、ちょっと手を出して手伝ってしまえば、簡単なところもあるんですけども、そこはあえて職員は手を出さずに見守って、スタッフにやってもらうっていうのをすごく大事にしています。そこで個々の力をどんどん伸ばしていっているっていうふうに思っていただけたら、嬉しいなと思います」と話していました。
通う日数によって違いはありますが、スタッフは平均でひと月9,000円ほどの給料をもらっています。
重い知的障害があり、周りに支えられながらも、一方で、地域を支える仕事を自分はしている、地域の人に必要とされている、と感じているのかもしれません。

千葉市若葉区にある生活介護事業所「ITSUMO」の駄菓子屋にカフェに御用聞き。
障害のある人達が地域に溶け込んで働く場を作る一つの試みとして、注目されているということです。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当・TBSラジオ記者 崎山敏也)