新潟市に住む油彩画家・樋口正さんは、能登半島地震で大規模半壊となった西区の自宅を取り壊し、ふるさとの西蒲区へと引っ越すことにしました。

「なんとも言えない雰囲気で、それなら新居行ったほうがいいなと」
「悔しいというのはないけど、寂しいというだけかね」
自宅においてあった油彩画も破損。さらに樋口さんの心を痛めました。
個展の開催はおろか、画家としての活動を続けるかどうかも思い悩みました。

「1~3月いっぱいまでは完全に筆を1回も握らなかったし、途中1回やめようかなとも思ったんですけど、新居移ってちょっと制作活動を再開したら、あっこれはいけるなと…」
好きな画を描くことはやめられず、個展の開催を決意した樋口さん。
地震の経験を経て、画への向き合い方が変わったそうです。

「画として、現在の風景を残したいという気になりましたね」
「今回の震災で、今まであった風景がいつ何時なくなるか分からないので、今の時点で画として残していきたいと」
樋口さんは前を向き、改めて『ふるさとの風景』を描き続けます。