「感情的になって人生を棒に振るのは」

14日。
判決の言い渡し。

男が、証言台に立った。深呼吸をひとつしていた。

以下、静岡地裁浜松支部の判決理由を抜粋。

男の犯行、殺人は「強い殺意をうかがわせる危険なものであり、容態は残忍で悪質」。死体損壊・死体遺棄は「死者に対する宗教的感情や畏敬の念を大きく害する残酷で悪質な犯行」である。

男がAさんから暴力や暴言を受けたり、脅されたりしていたことについては認め、考慮するものの、「高い危険性や切迫性があったとは認められず、本件当時、被告人が被害者から追い詰められていたとまではいえない」と判断した。

「犯行の計画性」の見解について、男が金を払うと嘘をついてAさんを呼び出し、鉄製ハンマーなどを用意して合流、犯行に及んだことから、「殺害することをまったく想定していなかったわけではないと考えられ、計画性があったとまではいえないが、突発的な犯行であったともいえない」とした。

【裁判長の話】
「時間は誰にでも平等です。自分のやったことを受け止めて、どう行動していくか。重大な犯行の一部始終をよく振り返り、遺族に何ができるか考えてください」

男に、懲役18年の判決が下りた。
男、小さい溜息。
閉廷。

男は控訴せず、刑は確定した。

【男の元妻 供述調書より】
「夫は以前、殺人事件のニュースを見て、『感情的になって人生を棒に振るのはアホだよな』と、話していたことがありました」