“台湾のジェシー“と1日200~300回LINEやりとり

160万円の詐欺被害にあったのは、三重県在住の橋さん(仮名・40代男性)。
コロナ禍で時間ができ、将来を見据えての婚活にと始めた「マッチングアプリ」がきっかけでした。「冷やかしも多かった」中で、1人、海外の女性が真剣にメッセージを返してくれたといいます。
160万円被害 橋さん(仮名・40代男性):
「『日本という国が好きなので、将来は日本に住むのが私の夢なんです』って言っていたので、この方は本気の方なんだなと思いまして

相手は、台湾出身でジェシーと名乗る女。送られてきた写真には、目がぱっちりした、色白でスラっとした女性の姿が。LINEを交換し最初は世間話からやりとりが始まりました。

【実際のLINEでのやりとり】
女:「ジェシーの夕食は終わりだ」(※夕食の写真添付)
橋さん(仮名):「日本語は難しい?」
女:「そうだよ。日本語も難しいですね。ジェシーも一生懸命勉強している」(※赤字で書き込みされている日本語辞書の写真添付)

160万円被害 橋さん(仮名・40代男性):
「たまたま私は車が好きだったので、そしたら女性も私も車が好きだと。多い時は1日200~300回LINEのトークをしていました」
この、やりとりの多さも手口の1つだと話すのは元神奈川県警刑事の小川泰平さん。「どんどん連絡がきて言葉のキャッチボールがテンポ良すぎるくらい。考えるいとまを与えない」

会えなくても、多くの言葉を交わし徐々に恋愛感情が芽生えていったという橋さん。約1か月間やりとりを続け、結婚も考え始めたある日…。突然相手の女が、これまで一切出なかったお金の話をし始めたといいます。
【実際のLINEでのやりとり】
女:「私は、投資をやっていて今日投資でこれだけ儲けました。2人の将来のためにお金を増やさない?」
橋さんは最初は断ったものの、強くすすめられ、「嫌われたくない」との思いから10万円分のビットコインを購入。その後、投資先のアプリで確認すると、少しずつ資産が増加していったといいます。

しかし、このアプリも、資産のグラフも全てニセモノ。
ITジャーナリストの三上洋さんによると「犯人が勝手に作って運営しているように見せかけているアプリ。リアルタイムで出ている価格やグラフは全てダミーでいい加減なもの」
ニセの投資画面で、順調に増え続ける資産。相手からも「まだ額が少ない!額が大きければ大きいほど利益が出るから、もっと入金して」とせかされ、橋さんは借金をして160万円を入金してしまいました。
するとある日、約7万USドル(約1100万円)になっていた資産が、わずか1時間で約5USドルに…。

詐欺に気づき、「もう取引をしたくない」と相手に伝えると、連絡が途絶えたといいます。借金だけが残り、愛車も手放すことになった橋さん。
160万円被害 橋さん(仮名・40代男性):
「おかしいなと思いました、なんでこんな美人で、自分に来たんやろと思って。全然心の傷は癒えないですね」
こうした「マッチングアプリで出会って投資をさせる」手口は、コロナ禍で急増したといいます。
ITジャーナリスト 三上さん:
「コロナ前のマッチングアプリは、来日するためのお金を送らせる手口。しかしコロナ禍でできなくなって、投資をさせる手口に変わった。これで被害額が目に見えて増えている」














