体調を壊した経験からこの場所へ

大谷さんがこの場所を選んだのは、自身の経験に基づいたものからでした。5年ほど前、パニック症と思われる症状が出ました。突然どうきが激しくなり、過呼吸や手足のしびれなどこのまま死んでしまうのではないかという恐怖感に襲われたそうです。

大谷さん
「パニック障害のような症状が起こって、その時に体験者の方のブログだったり、本を読んだり、そうすると自然に触れておいしいもの食べて温泉入ったりして、ゆっくり過ごすのがいいよっていう声が多かったので」

医者にはかからず、九州の温泉地を巡るなどして日常を忘れ、心も体も休めることで、徐々に快方に向かったといいます。

大谷さん
「その体験があって、ここの場所がそれにぴったり。これ皆さんの役に立つなっていうのが強いんじゃないかと思いますね」

長門の食材生かし 料理にもこだわり

おいしいものにもこだわりを見せる大谷さん。長門の食材にほれ込みました。料理長として全幅の信頼を寄せているのが猿渡順一さんです。17歳の時から全国各地で腕を磨き、本格的な和食を得意としています。

北長門リトリートホテル悠久の季・猿渡順一料理長
「俵山の百円市場に寄って、チンゲンサイとダイコンを。これ100円です」

長門市の魚や野菜は新鮮でおいしく、魅力あふれる土地だといいます。

猿渡料理長
「やりがいをとても感じております。四季に応じていろいろおいしい魚も野菜も変わっていくので常に気を遣って、おいしい方法で提供していきたいと思っています」

レストランでは日替わりメニューが人気です。この日は、タイの昆布締め、トラフグの煮こごりなど8種類。ごはんは、美祢市の半田弁天湧水で炊き上げるなど、おいしさにこだわります。価格は1650円、長門市民には1320円で提供しています。

下関市から来たグループ
「タマネギが丸ごとあったり、ニンジンもおいしかったね。魚も仙崎。おいしい」

にぎわい復活へ地元も期待

ホテルの復活は、地域の人たちも期待を寄せています。

地元の人
「うれしいです。地元民にとっては、油谷ですからお茶を飲むような所もあまりないですから、ちょうど長門の中間点。なによりこの海がごちそうです」

地元の漁師も海から見る景色が違ってくるといいます。

地元の漁師
「夜でも沖から港内に入ってくるでしょう、ここの電気が見えんとさみしいですよ、ぜんぜん雰囲気が違いますからね」

ラウンジでは地元の人がくつろいでいました。

地元の人
「結婚して40年になりますけど、ここで結婚式しましたからね、40年前に。多かったですよその頃はね。日置がだんだんさみしくなってくるからね」

学習塾を経営する大谷さん。教育と観光はつながりがあるといいます。メンタルを整えることは、受験でも重要だと考えています。

大谷さん
「受験でうまくいく子っていうのは、やっぱり体力もあって、勉強頑張ったっていうのもあるんですけど、やっぱりメンタルが強く整った子になるんですよね、そうなればメンタルを整える場所は必要だと前から思ってたんですよね、そういう部分は共通していると思うんですよね」