事前の抗原検査で「陰性」を確認し、70代男性夫婦のもとに帰省した家族。ところがその後、次々と陽性に。一番最初に陽性が判明した、孫にあたる8歳の女児は「私のせいで感染したのでは?」と自らを責めていたといいます。行動制限のない3年ぶりのお盆休み、帰省時にはどんなことに注意すればよいのでしょうか。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授にお話を伺います。
■祖父母に感染 孫が“自責の念” 事前の抗原検査「陰性」でも

南波雅俊キャスター:
お盆の帰省でこんな例がありました。東京都内に住む76歳の男性とその妻の家に、その娘と11歳と8歳の孫2人が8月8日に抗原検査を受けて全員「陰性」だったので日帰りで帰省しました。
そして男性宅で食事などをしたのですが、8月9日、8歳の孫が発熱してこの日は抗原検査「陽性」となりました。さらに、その翌日10日の夜には76歳の男性とその妻の2人とも喉の痛みと倦怠感を訴え、11日にはかかりつけ医で検査を行って「陽性」となりました。この男性の症状が悪化してきたので、ひなた在宅クリニック山王の田代和馬院長に往診の依頼があったそうです。
12日には酸素飽和度が91%、正常値は96~99%ですからかなり低い数値です。そして炎症を抑えるためのステロイドも投与しました。この男性は76歳という高齢かつワクチン接種3回、高血圧や喫煙歴もあったということです。こういった状況で家族は全員「陽性」。
お孫さんは「私のせいで感染したのでは?」と自分を責めているところがあったと田代院長は言っています。
ただ、田代院長はお孫さんのためにも治療に全力を尽くすということで、76歳男性の容態は改善傾向にあり、お孫さんに対しても「ウイルスが悪いのであって誰かが悪いということはないんだよ」と伝えています。
【東京都内に無料の抗原検査場】(8月5日~18日)
こういった例もある中、臨時の無料の抗原検査場(抗原適性検査)が東京都内に開設されていす。
▼東京駅
▼品川駅
▼上野駅
▼池袋駅
▼新宿駅東口
▼バスタ新宿
【対象】
帰省を予定している人など無症状者
【検査数】(木下グループによる)
6か所の合計で3万5000件以上(5日~14日 6か所合計)
田代院長はこんな懸念を示しています。
▼抗原検査について
抗原検査は症状がある方に対して有効になるので、抗原検査を使って無症状者の陰性を証明するのは無理がある。この家族のような例は、さらに出てくるのではないか。
▼今後について
医療現場は1か月以上続く“第7波”で限界を迎えているところもある。受け皿が減る中で感染者が高止まりすれば、医療はよりひっ迫するのでは。