「何をされたら、あんなふうに、皮膚がベロンと、はがれるのだろう」
1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下されました。
やがて、岡山駅へ入る列車に顔や手が焼けただれ、担架で運ばれる人の姿が増えてゆきます。
被爆者です。
その姿を見た川瀧さんは「何をされたら、あんなふうに、皮膚がベロンと、はがれるのだろう」と不思議に思います。
当時は、まだ原子爆弾が人にどのような影響を与えるのか、わかっていませんでした。

1945年8月9日、長崎にも原爆投下。
そして、8月15日、敗戦。
あれから79年が経とうとしています。
筆者は、RSK山陽放送に入社以来、岡山空襲をはじめとする戦争の証言を直接取材する機会がたびたびありました。
けれど、いま、戦争を語れる人はとても少なくなっています。
岡山映像ライブラリーセンターには、RSK山陽放送の歴代の記者たちが取材した「戦争の証言」がたくさん残っています。
これから先は、そうした証言の記録を頼りに当時に思いを馳せることしかできなくなるのです。
いま、私たちにできることは、折に触れてこうした歴史があったことを思い出し、悲しい歴史を繰り返さないためにはどうしたらよいのかを自分ごととして考え、次の世代に伝えていくことです。
川瀧喜正さんと小手鞠るいさんが次世代に託す「戦争の証言」が、これから先も受け継がれてゆくことを願います。
※「川滝少年のスケッチブック」の原画は、9月8日から11月17日、岡山市北区の吉備路文学館で開かれる特別展 「小手鞠るい 本の世界」で展示されます。