“有効な治療法”が確立されていないのが現状

 ―――佐藤弘道さんは緊急入院し、投薬とリハビリの日々を過ごしているということです。治療法について教えてください。

 「発症して約6~8時間以内の場合、血栓を溶かす『血栓溶解療法』という治療法もありますが、それが難しかった場合、動かない足を動かすためにリハビリで体を動かしていくことが中心になります」

 ―――有効な治療法は確立されていないのでしょうか?

 「そうですね。神経が機能不全を起こしてしまうと元に戻りませんので。元に戻る治療法があればいいのですが、現状ではありません」

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 ―――現在、佐藤弘道さんは全く歩けない状態だということですが、回復は望めるのでしょうか?

 「正直なところ、かなり厳しいかもしれません。ただ、まだお若くて身体能力が高い方なので、リハビリに努力されると思います。何とか少しでも元の状態に近い形まで頑張っていただけるといいのですが、なかなかそこまで戻るのは難しいことです」

 ―――予防法はあるのでしょうか?

 「日常的に頻繁に起こる病気ではありませんが、例えば、被災地での避難所生活や車中泊などじっと座っている体勢が多い場面では、1時間に1回足を動かしたり歩いたりして予防することが大事だと思います。また、脱水の状態ですと血栓ができやすいので、水分補給も非常に大事な点だと思います」