“工事のエキスパート”とされた現場所長 不良発覚も「どうすることもできない」部下に丸投げ

今回公表された調査報告書では、施工業者へヒアリングした内容などについても公表されました。そこでは、現場所長は「トンネルの測量や計測管理システムを使ったことがなく、部下に任せきりで、測量結果については把握していなかった」「厚み不足に気づくも、局所的なもので大丈夫と勝手な判断をした」「今更どうすることもできないと思い、作業を継続した」などと言及されていました。
浅川組によりますと、工事を取り仕切っていたのは、15件以上トンネル工事を担当していた現場所長。経験も豊富で、いわば“敏腕社員”とされ信頼を置かれていたということです。
しかし、浮き彫りになったのは経験豊富と言うには程遠い実態でした。社内でのヒアリングでは、『覆工コンクリートは、化粧コンクリートのようなもので厚さが足りなくても問題ない』と発言、岩盤などの計測に関しても、レーダーなどを用いるなど客観的な計測を行わずに目視のみで『この山なら崩れないだろう』という判断で工事が進められていたということです。
また、こうした一連のコンクリートの厚さ不足などに関する施工不良は現場所長から本社へは全く報告がされていませんでした。報告書の中では、現場所長が『本社に報告をしても社内にトンネルの専門家がおらず、現場任せになるので、自ら問題などを収めないといけないと思っていた』などと認識していたということです。