和歌山県南部に建設中のトンネルでコンクリート内部に空洞や厚さが不足していた問題。原因などを調査していた有識者による調査報告書が先週、公表されました。そこで浮き彫りになったのは、トンネル工事のエキスパートとされていた施工業者の現場所長らによる工事のずさんさとそれを隠ぺいしていた実態でした。
南海トラフ地震など災害時のう回路のはずだったトンネル
問題となっているのは、和歌山県串本町と隣接する那智勝浦町とをつなぐ、全長710mの「八郎山トンネル」。このトンネルは南海トラフ地震などの災害時に、国道のう回道路として地元住民らが避難する際にも活用する重要な道として整備が進められていました。トンネルはおととし(2022年)の9月に完成、引き渡しされ、去年12月に供用が開始の予定でした。
しかし、おととし12月、思わぬ事態が発覚しました。照明の設置工事をしていた際、コンクリート内部に空洞があることがわかりました。また、空洞に加え、コンクリートの厚さが不足している箇所が複数あることも判明、設計上、厚さ約30センチ必要な所が最も薄い所でわずか「3センチ」しかありませんでした。この他にも鋼材が適正な位置からずれているなど、複数の施工不良が発覚しました。