大阪府内の女性(85)が年金の過払いがあったとして、600万円以上の返還を求められました。病気で体に麻痺が残る息子(56)との生活は年金だけが頼り。支払う側のミスによって苦境に陥った親子を取材しました。

過払いに気付かず「600万円、返還せよ」生活苦境に…

大阪府寝屋川市に住む、佐々木さん(仮名)56歳。2023年、脳梗塞を発症し、その後、左半身が麻痺しました。歩くには、杖がかかせません。

いまは週に3回リハビリをしていますが、まだ働くことができていません。生活の頼りにしているのは今年で85歳になる母親の年金です。

母親が1か月に受け取っている年金は約16万円。生活に余裕があるとは言えません。

佐々木さん(仮名)
「僕自身が今、病気をして収入がない」
「母親の年金に頼らないといけないので、正直ちょっと苦しいですね」

そんな中、佐々木さんは最近“ある事実”を知ったといいます。

佐々木さん(仮名)
「年金を返還せいと言われていまして…金額がびっくりするんですけれど…」

母親宛てに送られてきた封書に書かれていたのは…

佐々木さんの母親宛ての封書
「過払金が発生したため、支給額の一部を返還に充てさせていただいている状況です」

年金を誤って多く支給していたとして、過払い分の返還を求められているというのです。その額なんと618万円を超えます。

佐々木さんの母親
「びっくりしたわ『600万ってどういうこと?』と思ったけどな」
「不安より怒りやな。こんなん間違われたいうのは」

佐々木さん(仮名)
「もう法外ですね。普通の人間でパッと思いつくような、口に出せる金額ではないので、びっくりしましたね」

20年あまり公立小学校で教師をしていた、佐々木さんの母親。
今回、過大に支給されていたのは公立学校共済組合からの年金でした。

佐々木さんは母親の年金額の誤りに気づかなかったといいます。

佐々木さん(仮名)
「人がどれだけもらってるかって。聞きにくいし。たとえ親子でもね」
「ちょっと怒りでしょ、こんなんもう本当に」

今はもらえるはずの年金から2か月ごとの支給日に3万円が引かれています。さらに物価の高騰が重くのしかかります。買い物では…

佐々木さん(仮名)
「割引のシールですね」
「お昼なんであんまり貼ってることが少ないんですけど、たまたま見つけたので…生活が厳しいのでね、少しでも節約になるかなと」

母親の預金通帳を見せてもらうと残高は167円。年金支給日の前にはほとんどお金は残りません。

働いていた年数や所得によって変動する年金。
自分で正しい支給額か、誤った支給額かに気づくことは容易ではありません。

母親
「私も分からへん。どんなふうに計算されたのか」
「もう振り込まれたら、そうかなって思う感じやんか」