「政権運営させてコケさせる」
欧州議会選挙で大敗を喫したマクロン大統領は、驚くことに議会の解散を発表、フランス総選挙を今月中に実施するという賭けに出た。
日本なら逆風時は解散を少しでも先延ばしにするところだが、マクロン大統領は「皆さんに選択権を返すことに決めた」としてその夜の解散に踏み切った。
元朝日新聞ヨーロッパ総局長で、現在東京大学・特任教授の国末憲人氏は言う。

東京大学先端科学技術研究センター 国末憲人 特任教授
「今回の欧州議会選挙は国に直接関係ないので割と気軽に投票できた。国内の総選挙や大統領選になると(国民も)気を使うと思う“やっぱり右翼はやめておこう”って…」
一方、マクロン大統領には彼なりの勝算があって解散するのだと教授は言う。もちろん裏目に出る可能性もあるが…
東京大学先端科学技術研究センター 国末憲人 特任教授
「マクロンはリスク取るの好きなんです。それを恐れない人物。リスキーだけどやる。(中略)任期はあと3年あるがこのままやってると国民連合に人気がどんどん高まる、と思ってます。で3年間レームダックになるよりも一か八かに出た方がいいという判断…」
東野教授もマクロン大統領の目論見を4つ挙げた。
筑波大学 東野篤子 教授
「一番大きいのはフランスの選挙で極右が大勝ちすることはよくあるんですが、大勝ちした後に揺り戻しがあるんですね。“こんなに極右が勝ってしまってはマズい”って…。2番目は、マクロンは国民連合が上手く政権運営できるとは思ってない。なのでもし過半数取って最悪ルペン氏やバルデラ氏が首相になってしまっても、政権運営させてコケさせる。3番目として、フランスの大統領権限は絶大なので、たとえ議会で過半数取られてもやっていけるという自信ですね…。4番目にはマクロンの視点はあくまでも2027年の大統領選挙。そこにルペンは出る気マンマン。だからなんとか国民連合に失敗をさせておく。それでルペン大統領誕生の芽を摘んでおく…」
それにしても大統領が46歳。首相が34歳。ライバル党首が28歳。登場人物の中で最年長のルペン氏でも55歳。それに比べて日本は…、と考えるとイデオロギーを度外視して羨ましい…。
(BS-TBS『報道1930』6月10日放送より)