ステンレス製包丁の「10倍」切れ味が長持ちするという試験結果も!

キセキの製造工程を見せてもらいました。まずは、包丁用に開発した超硬合金の板40枚を機械に固定し、水の中へ。細いワイヤーに電流を流して放電を起こすことで、7000度の高熱で溶かして切断します。切断は1分間に0.5ミリのスピードで進み、包丁の形に切り出すまでには10時間かかります。

次は、切り出した板に刃を付ける工程。この金属に刃を付けられるのは、ダイヤモンドの砥石だけ。金属の厚みは1.2ミリで、刃先の角度は通常の約30度よりもさらに鋭い20度。ステンレスなど従来の金属では刃が耐えられず、超硬合金でしか実現できない「薄さ」と「鋭さ」です。

キセキは、ステンレス製包丁の半分の力で切断でき、切れ味は10倍長持ちするという試験結果が出ています。

柄は岐阜県産の天然木。作れるのは1日30本で、価格は1本3万4650円。現在2か月待ちの人気商品です。

「食材の細胞を壊さずに切れる」日本のモノづくりの力を世界に!

キセキを使う地元、関市の日本料理店「葉菜」を取材しました。キセキで切ると、食材の細胞を壊さないため、歯ごたえや舌ざわりが違うといいます。

(葉菜 水谷千佳さん)
「細胞を壊さずに切れるので、艶やかで中の水分が保たれる。化粧したように野菜がきれいになる」

試しに、キセキとステンレス製の包丁で、玉ねぎを切ってもらいました。断面を比較すると、一目で違いが分かるほどです。

(葉菜 水谷千佳さん)
「玉ねぎを切って、水にさらさずに生で食べても甘く感じる」

すでに海外からも引き合いが来ているというキセキ。日本のモノづくりを、改めて知らしめる存在です。

(福田刃物工業 福田恵介取締役)
「岐阜、関市から世界に。この包丁を広げていって、みんなに使ってもらいたい」

あくなき挑戦で生まれた「究極の包丁」…皆さんの家の台所にも1本、いかがですか?

CBCテレビ「チャント!」6月10日放送より