「電子投票機って遠隔操作できるんじゃないか…」
今回のインド総選挙、不正な選挙だったという声が相次いでいるという。
選挙を運営する側は“世界最大の民主主義の祭典”と謳っている。そこでその祭典がどんなものなのか紐解いてみた。
インドの国土は日本の約9倍。そこに暮らす約9億7000万人の有権者全員に対応するため選挙期間は実に1か月半。投票所は過疎地や秘境を含め100万か所以上に及ぶ。中には有権者が1人しかいない森林にも投票所は設けられた。
投票方法は2004年から電子投票が採用され、投票ボタンには候補者の名前の他に顔写真と政党のシンボルマークが表示され、人口の4分の1ほどといわれる字が読めない有権者にも配慮している。

更に選挙管理委員会は不正を防ぐために“密告アプリ”を開発。国民にダウンロードしてもらい、現金の受け渡しなど不正と思われる現場を目撃したら撮影・録画・録音などを選管に送ってもらう。選管側はアプリのGPSで現場を特定、調査、摘発に臨むというものだ。密告した人には100分以内に選管から対応が連絡されるという。さすが民主主義の祭典という感じだ。それでも不正はある。
北部の州では選挙権のない17歳の少年が、与党候補に8回も投票する動画がSNSにアップされた。この少年は警察に拘束され、この地区の選挙は投票やり直しとなったが、野党側は電子投票への信頼性を問題視した。また、選挙直前に選管が辞任し、新任された2人が与党寄りの人間だとの憶測が飛び交った。
防衛大学校 伊藤融 教授
「今回は選挙のプロセスで野党のリーダーの一人であるデリーの州のトップが逮捕されるとか、野党の銀行口座が税金納めていないと言って凍結されるとか、野党への締め付けが強まる中で陰謀論的なんですが電子投票機って遠隔操作できるんじゃないかって話も…」
一方で、絶対と言われてきたモディ首相側がこれほど議席を減らしたという点で選挙は思いのほか公正に行われたのではないかと見るのはアメリカのシンクタンクでインドの安全保障を研究する長尾氏だ。

ハドソン研究所 長尾賢 研究員
「(実績からしてモディ首相の評価は悪くない)そこから見て議席大幅に減らしたのは公平にやったから減っちゃったんじゃないの…ということで、選挙のイメージそんなに悪くない(中略)ただモディ側は400議席取るって言ってた。でも取れなかったのは与党に過剰な自信があった。それは長く政権やっているうちにイエスマンばかりになってたんじゃないか…」