薩摩の墓には33人が眠っていますが、その多くが10代や20代の若い兵士たちです。

この西軍墓地は、普段は静かな雰囲気ですが、この日はすぐ隣にある「とうみょう子ども園」の子どもたちが訪れました。

Q.ここがなんの場所か知っていますか?
(園児)「お墓」
(園児)「敵でバンバンバンと戦った」「白虎隊と」

園では午前中の外遊びの時間に、隣の公園を訪れていて、西軍墓地は園児たちにとって身近な場所となっています。
この西軍墓地は一時は荒れ果てていたものの、1950年代に見かねた地元有志が整備し直して、毎年10月に墓前祭を行うようになり、去年で70回を数えました。
(西軍保存会 山田悦史会長)「明治生まれの人たちが存命のうちは親から直接、戊辰戦争の悲惨さを聞いていたので、薩長土肥に対する確執というのは持っていたと思うんですけど、若い年ではるか陸奥まで来て戦って戦死されているわけですから」
「戊辰戦争で敵味方にわかれたとは言え、命を落とした人にはどちらも不幸なこと。大切にまつってあげないといけない」

さらに、とうみょうじこども園では、園児たちを慰霊活動に関わらせるだけでなく、保護者による清掃活動も行っています。
(とうみょう子ども園・中村とし子事務長)「これから先を考えると、子どもたちや保護者に分かってもらって継承していくような形にしたい。だれもが平等というのがあって、白虎隊も大事だけど、西軍墓地も大事。それを継承して、西軍墓地がいつまでも残るようにしたい」

かつて敵として戦った相手の慰霊を続ける会津の人たち。しかし、こうした活動は鹿児島ではほとんど知られていません。墓前祭には、山口や佐賀からは県東京事務所の職員が毎年のように出席していますが、鹿児島県職員の出席はないと言います。

故郷・鹿児島でもほとんど忘れられてしまっている若き兵士たちの慰霊を、敵・味方関係なく続ける会津の人たち。その思いのこもった墓前祭は、今年も10月23日に行われます。
