追われる対応 “不登校や外国人” 授業の合間に子どもの自宅へ

2学期が始まった2023年8月末。

校長
「今日から豊仁小学校に新しい仲間が5人来てくれました」

1年生から6年生まであわせて5人が中国から転入してきた。

松下さん
「とりあえずここに座っておいて」

松下さんのクラスにも転入生のホ・コウウ(蒲浩宇)さんがやってきた。

松下さん
「日本語がほとんどわからない。先生が言っていることも難しいから、みんなで助けてあげて。じゃあ『ホ・コウウです』って言えるかな」

ホさん
「(自分の席に戻ろうとする)」

松下さん
「難しい…ちょっとおいで。イングリッシュオッケー?」

ホさん
 「(首を振る)」

松下さん
「ノー。イングリッシュもだめ」

ホさんは1か月前に来日したばかり。大阪市の公立の小中学校で学ぶ中国人の子どもは約2500人。10年前の5倍の数だ。

2023年9月初め。1時間目の理科の授業。専門の教員が担当するため、松下さんは子どもたちを理科室まで送ると急いで職員室へ。

休みが続いている子どもの家庭に連絡を入れる。

松下さん
「昨日ご連絡させていただいて、その後どうですかね?お迎えに行って『一緒にどう?』って声掛けはできるんですが、いかがですかね?」

様子を見るため、授業の合間に子どもの自宅に向かった。

松下さん
「おはようございます。豊仁小学校の松下です」

母親
「少々お待ち下さい」

松下さん
「あ、おはよう。きょう楽やで。1、2時間目は理科と音楽で、勉強も算数くらい」

児童が出てくる。

松下さん
「すみません。お母様の方がお忙しい時間帯に」

母親
「いえいえ」

児童と松下さんが一緒に歩く。

松下さん
「よく頑張って来たな。怒ってるの?きのう何時に寝たん?」

児童
「午前3時」

6年生の日夏詩(ひなた)さん。寝る時間が遅く、朝起きられない日が続いていた。

日夏詩さんは、宿題ができていないことへの後ろめたさから、学校を休む日がよくある。

松下さん
「あのさー知っているやろうけどあんまり宿題のことは、やいやい言わんからさ。ええで。宿題してなくても学校に来たらええからな」

日夏詩さん
「…」

松下さん
「宿題のことでめっちゃ怒ったことないやん」

松下さんは授業にも真面目に取り組む日夏詩さんの様子を見て、学校に来る習慣をつけていって欲しいと考えている。        

松下さん
「登校してきてくれたら嬉しそうにね。友達と一緒に会話したり、遊んだり、ふざけたり、笑ったり。あー迎えに行ってよかったな。来てくれて嬉しいなと思いますね」