報酬や感謝の言葉をきっかけに「自信を取り戻すというのが一番いいケア」

(春川正明キャスター)
「こちらのデイサービスでは認知症の予防に力を入れていて、利用者の方は皆さん女性です。中には作業をされている方もいらっしゃいます」

認知症の予防の為に内職をしているのは、82歳の女性です。返品されてきた商品の数をチェックして商品タグを外す作業です。謝礼は1セット1円です。

ーちょっとでもお金もらえるのは嬉しいですか?


(藤原京子さん)
「嬉しいよ。しれとるけど。ひと月、一生懸命しても2000円あるかないか。ここに来ていたら元気になるよ。家で誰も話し相手が居なくてぼーっとしているのでな」

このデイサービスの利用者のほとんどが認知症ですが、利用者もスタッフもニコニコしていてとても穏やかな空気が流れています。

ー胸に「コープ」って書いてますけど?

(81歳の認知症女性)
「本当じゃなあ、これは私のものじゃないんです」

ーエプロン付けて今からどこ行くんですか?
「どこ行くの?知らんのよ私も。何も知らないの。」

ー知らないの?
「うん、ぼーっと生きとるから。何をどうするのか、さっぱり分かりません」

スタッフが付き添って、車で5分ほどのスーパーマーケットに向かいます。

認知症の人も含めて、介護や支援が必要になった人が働いて謝礼も貰って活躍できる地域社会づくり「ハタラク」が岡山市で進んでいます。

このスーパーマーケットでは、店舗の外回りで草取りをするのですが、この日は雨が降っていたため初めて店舗内の掃除をすることになりました。
ここでの作業は月に2回。1回30分ほどで謝礼は200円です。

(店長)
「こちらが今日の報酬になります」

「ありがとうございます。いやあ、もう私はお金を貰うなんてことはなんか考えたことないからな。嬉しいです。(封筒の中身を見て)何が入ってるの?なんか200万円ほど入ってる」

ー何を買いますか?

「何が買えますかね?200円で(買うて帰ろ)はい、有難うございました」

(どんぐりハウス 早見満暁さん)
「認知症になると、やっぱり自分に自信がなくなりますよね。自信を取り戻すというのが一番いいケアになると思います。自信には何が一番大事かというと、人からありがとうと言ってもらったり、極端に言えばその対価として賃金を貰うということが、その人を取り戻すということの重要な要素になるんじゃないかなというふうに思っています」

(コープ西大寺店長)
「実際に来られた方も非常に楽しくされていますし、その後の買い物とかも笑顔でされているの見ると、まだまだ我々も一緒にやっていけたらなと思っています」