チームを救った才木投手は『打者と勝負する投球術を取得』

 ―――6月2日、ロッテとの試合に1対0で勝ち、交流戦初勝利となった阪神タイガース。連敗は5でストップしました。完封勝利の才木投手は6勝目。非常に素晴らしいピッチングでチームを救いました。矢野さんは今年の才木投手について、『打者と勝負する投球術を取得した』と見ているようですね?

 「今までの才木は、速いストレートとフォークボールを一生懸命投げるだけ、まさに『球を投げるだけ』でした。それだと、投げられるイニングも短いし、バッターにも粘られる。でも今年は、カーブやカット系のボールでも勝負できるので、少ない球数でバッターを抑えられますし、投げるイニングものびていく。だから完封もできる」

 ―――変化球を使って、見事に打者のタイミングをずらしたり、空振りを取ったりしていました。

 「そうなんです。今まではキャッチャーのサインにうなずいて投げるだけだったんですけど、今はバッターに対して自分でいろんなことを感じながら、自分でボールを選んで投げられる。そういうところも出てきてるんじゃないかなと。技術がだいぶ備わってますし、バッターを抑えるイメージも高まってるような感じに見えますね」

 ―――今年の才木投手、大きく成長を感じますか?

 「エースになってほしいという素材だったんですけど、『来たかな』っていう感じでしょうかね。抑え方がすごくいいです」

 ―――そんな才木投手は兵庫県神戸出身で、2016年ドラフト3位で入団。2020年に肘の手術(トミー・ジョン手術)を受けて育成契約になったあと、2022年に支配下復帰したという苦労人です。

 「(トミー・ジョン手術は)靭帯を縫合するような手術で、本人にとって苦しい時間が長かったと思います。でもそのときにトレーニングをめちゃくちゃ前向きに頑張ってる姿を僕も見てましたし、それがつながってると思いますね」

 ―――矢野さんから見て才木投手は『とても前向きで明るく、性格面でもエースになれる素材』ということのようですね?

 「どんなときでも、苦しい時でも明るく前に行きますし、お母さんもキャンプに来てくれたんですけど、お母さんもすごく前向きなんですよ。お母さんのいいところをもらったのかなと、僕はちょっと思ってます」

 ―――才木投手は登板前、歌を歌っているくらいリラックスしているそうです。一方、同い年の村上頌樹投手は緊張してすごく準備するタイプだそうです。

 「よきライバルとしてエースを争えるような素材だと思うんで、楽しみです」