「税金は減らしたのに、会社の負担が増えている」

良原キャスター:
さらに、企業にとっても負担になっている場合があるといいます。給与明細に減税額を明記することが義務化されています。

例えば、東京・大田区の極東精機製作所では、従業員20人に対して、経理が1人です。

定額減税対応のために、5月に税理士に相談したところ、追加料金が発生するなどから、経理のみで対応することになりました。

極東精機製作所 鈴木亮介 社長
「税金は減らしたのに、会社の負担が増えている」

追加料金が発生したり、経理の方の負担が増えたりする企業はあるのかもしれません。

産婦人科医 宋美玄さん:
私は小さいクリニックを運営しているのですが、単発とはいえ、定額減税に関する人事・労務のオペレーションへの負荷がすごいです。例えば、所得制限にかかるか確認しないといけないし、税理士や社労士への支払いも増えます。

やはり額が物価高に追い付いておらず、単発なので(今回の減税を)あてに消費を増やそうともならない。企業には負担がかかるので、中途半端かなと思います。

井上貴博キャスター:
やる事なす事が全部裏目に出てしまっていると感じます。ただ、消費喚起策はとても重要で、何かしらの手立ては必要だと思います。ですが、一度きりではなく、税金で行うなら継続的な方法があると思います。

岸田総理としては、アピールしたいから「給与明細に表記しなさい」と。ただでさえ人手不足なので、企業側に負担がかかります。

もし、一度きりなら現金給付の方がシンプルという意見もあります。やり方や打ち出し方があまりに我々が求めているものと違いすぎて、全部が裏目に出ていると思います。

ホラン千秋キャスター:
現場の皆さんに、どういう作業が生じて、どれくらい大変で、煩雑な作業が生まれるのかを政治家は間近で見ていないので、感覚として感じづらいということなんでしょうか。

産婦人科医 宋美玄さん:
(所得税)3万円を減税するにあたって、月に3万円納めてない人もいます。そしたら翌月また繰り越さないといけないなどになり、すごい手間ですよね。

何か月にもわたって起こることなのに、その手間をわかってない、想像力がないのかなと感じます。

井上キャスター:
結局、議員の方は「給与明細」をおそらく日頃からそんなに見ていないでしょうし、そもそもないでしょうし、そこに表記することがどれだけシステム上、混乱をきたすか、ご理解いただけてないのかなと思います。

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<プロフィール>
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信し、女性の性に関する著書が人気