「女性の国」に見る互いを尊重する自由な家族の形
上村彩子キャスター:
男性も卑屈になっているわけでもなく、伸び伸びと穏やかに暮らしているのが印象的でした。取材を通して、男性と女性がお互いリスペクトし合える。どんなところにヒントがあると感じましたか。

北京支局長 立山芽以子 記者:
「男の人が遊んで暮らす」というと、「女の人が必死に働いて男を養ってるんじゃないか」という風に聞こえるかもしれませんが、決してそうではなくて、男の人も自分の母親の家族を大事にしてますし、ちゃんとお金も入れてるそうです。
また、男も女も遊びたいときは自由に遊ぶ。「女が上」や「男が下」など全然なく、お互いに常に平等で対等な生き方をしているというふうに感じました。
また、「通い婚」ということで、同時に多くの異性と付き合える、など「性に乱れた民族」という誤った見方が広まってしまったそうですが、多くのモソ族は生涯1人のパートナーしか持たないそうです。
取材して思ったことは、日本では「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」「何歳までに結婚しなきゃいけない」「跡継ぎは男じゃなきゃいけない」など様々な暗黙のルールや圧力があります。しかし、モソ族の生き方は「こうあるべき」ということよりも、肩肘張らず柔軟に「どうしたらもっと自由に幸せに生きられるのか。」ということを追求しているのではないか、と感じました。
喜入友浩キャスター:
すごく大事なメッセージを突きつけられたような気がしますが、なぜこうした伝統が生まれたのでしょうか?

立山芽以子 記者:
様々な説があるそうですが「山に囲まれた場所で農地がほとんどなく、他民族が欲しがらないような場所で暮らしていたため、争いがなかった」という指摘があります。
つまり、戦争が多ければ多いほど、力の強い男性が戦うことになるので、結果的に男の人の発言力が強くなりますが、モソ族はそうではなかった、ということです。
上村キャスター:
立山さん取材をして、モソ族のマイナスな面は何かありましたか?

立山芽以子 記者:
モソ族のような家族のあり方は、大家族だからこそできるのではないか、と思いました。核家族が進んでいきますと、なかなかモソ族的な家族のあり方は難しくなるのかもしれません。