中学生の約8割が「体毛」を母親に相談…医師「子どもに寄り添って」

医療脱毛専門院「リゼクリニック」が、今年1月に小学生・中学生の親580名(母親290名・父親290名)を対象に行ったインターネット調査によると、小学生の母親の58.3%、中学生の母親の76.7%が、子どもから体毛について「相談を受けたことがある」と回答しています。今や「脱毛」は子どもにとっても身近な課題になりつつあるのかもしれません。
ただ、この「リゼクリニック」の太田真澄医師は、「キッズ脱毛」については慎重な意見です。

──「キッズ脱毛」のメリット、デメリットを教えてください。
「毛の問題で悩んでいる子ども、そして、その悩みを解決させてあげたいと親が考えたときに、脱毛はその選択肢のひとつであると考えます。脱毛により子どもの精神状態を良くすることに寄与するメリットがあります。
脱毛すること自体のデメリットは特にありませんが、現状では長期予後についてのデータは少ないです。医療脱毛ではレーザーを照射、エステ脱毛では光を照射していきますので、痛みや肌トラブル等のリスク、施術期間中の日常生活上の注意などをしっかり理解する必要があります。
脱毛施術中は眼球保護のため目隠しをして行うため恐怖を感じてしまうこともあります。また、痛みや皮膚トラブルなどのリスクもあります。本人の意思からではない場合、通う事が非常に苦痛となってしまい心身の負担になりかねません。
──子どものうちに脱毛をすれば、その後は生えなくなるのでしょうか。
「第二次性徴(男子10~13才・女子8~12才頃)前はまだ発育段階にある毛もあるため、脱毛回数が多くなる可能性があることも理解しておいた方がよいでしょう。この後、生えそろってくるであろう毛まで脱毛することはできません」
──キッズ脱毛を検討している親子に伝えたいことはありますか。
「『自分の毛が濃くて悩んでいたから子どもに脱毛をさせたい』『自分が感じたコンプレックスを子どもに感じてほしくない』『子どもの毛が濃くて、イジメられてしまうのではないか心配』など、子どもの意志ではなく“親の意向”で「キッズ脱毛を選択した」といった話を耳にすることがあります。
親が体毛に悩んでいたから、子どもも悩むとは限りません。体毛があっても本人が気にならなければ、脱毛は必要ありません。脱毛するかどうかは、親ではなく、まずは「本人の意思によるものかどうか」ということが最も大切だと考えています。従って、本人の意思が定まっていない中で、親の意向のみで脱毛することはおすすめできません。
また、サロンやクリニックによって様々な考え方や価格設定があるので、すぐに決めずに各公式サイトや口コミなどの意見を聞き、実際に無料カウンセリングなどに訪れてみる。そして、不安な点や気になる点をとことん聞いた上で、最終的にはお子さまご自身が納得できる場所で決められることをおすすめします。
「キッズ脱毛」という言葉を通して、本人の意思を無視した形で、「毛がない方が良い」といった誤った認識を招いたり、「子どもも脱毛することが当たり前」のように普及してほしくないと感じます。大切なお子さまのために、親世代は「正しい認識と知識」をもった上で、お子さまに寄り沿った選択をおこなってほしいと思います」
子どもが体毛について悩んでいた場合、まずは悩みを聞いて寄り添う。「キッズ脱毛」は、悩みを軽くする選択肢のひとつとして覚えておきたいです。