「“経済的アパルトヘイト”が続いている」

そんな人々の受け皿となっているのが白人排斥をも辞さない過激な思想で支持を集める野党の「EFF=経済的解放の闘士」です。

城嶋未来 記者
「急進左派EFFの集会が始まろうとしていますが、集会前に政党のオリジナルソングで支持者が踊っています。『白人は我々の土地を返せ』という曲にあわせて、支持者が踊っています」

彼らが着るTシャツには「停電をとめろ」「土地と仕事を返せ」というメッセージが。「EFF」は白人の土地を強制収用して、黒人にも分け与えるべきだと訴えます。

野党「EFF」ンドロジ議員
「80%の貧しい黒人が、国土の7%の土地に追いやられている。“経済的アパルトヘイト”が続いているんです。南アフリカの白人は富を共有する覚悟が必要です。土地を共有しないなら、国民の不満は時限爆弾のように、いつか爆発するでしょう」

――再び人種間の対立を煽ることにならないか
「白人の特権階級が富を占有しているんです。私たちは土地を再分配するとこで、逆に人種間の対立をなくそうとしているんですよ」

「光がほしい。暗闇に閉じ込められるのは、もうたくさん」

一方で、こんな受け皿も。

城島未来 記者
「選挙活動の一環で地元の市場を最大野党『DA』のクリス・パッパス氏です。流ちょうな黒人言語ズールー語で有権者に話しかけています」

白人が率いる最大野党「DA=民主同盟」の候補者クリス・パッパス氏。「汚職撲滅」を訴えたクリーンな政治姿勢が有権者の心を掴み、黒人の最大部族“ズールー族”がほとんどを占める選挙区でも人気を集めているのです。

クリス・パッパス氏
「南アフリカでは常に人種の問題がつきまといますが、いま人々が気にしているのは、きちんと職務を果たしてくれかどうかです。壊れた水道をなおすとき、黒人か白人かで選ぶのではなく、きちんと直してくれる人を選びますよね」

30年前、初めて投票権を手にしてから「ANC」に入れ続けてきたという女性も…

女性有権者
「光がほしいんです。暗闇に閉じ込められるのは、もうたくさん。与党ANCに入れてきたが、次は野党DAにします。すべては変わっていく…」

南アフリカはいま、再び歴史の転換期を迎えようとしています。