リーマンショック時にも巨額損失

農林中金が運用で巨額の損失を計上するのは初めてではありません。

リーマンショックのあった2009年3月期も、アメリカの住宅ローン関連商品での運用失敗を受けて5700億円もの赤字を計上、この際も1兆9000億円の資本増強で何とか乗り切ったのでした。

要は、甘いリスク管理を繰り返しているのです。

債券価格が下がっても(金利が上昇しても)このあたりで止まるだろうという希望的観測のもとに、いわば「思考フリーズ状態」で、損切りのタイミングを逃した挙句、損失が拡大するという構図は全く変わっていません。

農林中金の奥和登理事長は「想定を超える金利の引き上げだった」と強調しましたが、利上げは段階的に行われており、まるで素人の言い訳のようにさえ聞こえます。

その上、経営責任について質されても、「職務を遂行して難局を乗り切る」と続投の意思を表明するのですから、呆れてモノが言えません。

民間企業なら、即刻トップ辞任でしょう。

規模に見合ったリスク管理の確立を

農林中金は総資産100兆円近くの巨大金融機関です。

海外でも金融関係者なら「ノーチュー」と言えばすぐわかるほど、プレゼンスの大きな日本有数の機関投資家です。

それが、こんな「タコ投資」を繰り返し、経営責任も明確にしないなんてことがまかり通っていいはずがありません。

監督官庁は金融庁ではなく農水省で、危機があってもJAグループが持ちつ持たれつで助けてくれる、そんな『農協ムラ』の論理で、ものごとが決められているのではないでしょうか。

国際的なプレイヤーにふさわしいリスク管理の確立が急務ですし、何より、稚拙な運用のツケを負わされているのは、預金者、組合員であることを肝に銘じるべきです。

播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)