400mハードルは前半型と後半型の試行錯誤から日本歴代5位が誕生

昨年もGGPには400mハードルでエントリーしたが、故障の影響で欠場せざるを得なかった。4年ぶり出場となった今年は日本歴代5位のタイムだけでなく、レースパターンを増やす収穫があった。

豊田の特徴は長身を生かし、前半のハードル間の13歩を楽に走ること。日本選手だけのレースなら、黒川和樹(22、住友電工)以外にリードされることはない。
だが今回は、前半を気持ち抑えた。7台目までは5レーンの筒江海斗(25、ST-WAKO)が少しリードしていた。5月3日の静岡国際では逆で、8台目までを豊田がリードしていた(筒江48秒92、豊田48秒96)。筒江の正確なデータは不詳だが、豊田はGGPの5台目を約0.5秒、静岡国際より遅く通過した。そして8台目で筒江に並ぶと9台目で逆転した。

「前半抑えた分、後半体力を残した状態で走ることができ、このタイムにつながったと思います。静岡、関東インカレと連戦で脚に不安な部分もあったのですが、静岡で前半突っ込むレースをして現時点では後半耐えられる脚じゃないとわかりました」

前半で余力を残せたのは関東インカレの400mで、45秒82の自己新を出したことも一因だという。「最大スピードが上がり、バックストレートのスピードを調整しやすくなりました」。

豊田が前半型と後半型を試しているのは、今回が初めてではない。昨年5月の木南記念の5台目通過は、今年の静岡国際とほぼ同じくらい速く入って49秒95(3位)だった。昨年10月に48秒47を出したレースでは、GGPと同じように前半を抑え気味に入っている。110mハードルと400mハードルも、400mハードルの前半型と後半型も、交互に行うことで記録をアップさせてきた。そのプロセスが形として現れたのが、4年ぶりのGGPだった。

次のレース出場は6月末の日本選手権。パリ五輪最重要選考会で、日本人初のハードル2種目代表入りを目指す。4日間の会期で1日目に400mハードル予選、2日目に400mハードル決勝、3日目が110mハードルの予選と決勝、4日目が110mハードル決勝という競技スケジュールが決まっている。

代表に近い400mハードルで先にパリ五輪代表を決めれば、気持ちを上手く切り換えて110mハードルに挑戦できる。2種目同一大会出場は久しぶりだが、高野コーチはここまで綿密な計算をして強化を進めてきた。日本選手権で2種目とも結果を出す練習方法を考えているという。

「久しぶりの2種目ですが、腕の見せどころです」

ドリームレーンでの出場から4年後のGGPの戦いは、日本選手権、そしてパリ五輪へとつながっていく。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)