「熱中症」患者の増加が現場に“追い打ち”

コロナ患者が増えて限界の状態が続く救急医療の現場。これに追い打ちをかけるのが「熱中症」の搬送です。6月下旬に搬送されてきた60代の男性。体温は40.7℃で昏睡状態、重症の熱中症でした。熱中症の治療では体温を下げるための処置が行われます。

この患者に行われた治療はカテーテルを使った治療方法です。太い血管の中に入れるカテーテルの周辺には風船のように膨らむスペースが付いています。そこに、冷やした生理食塩水を流し込んでいきます。カテーテル周辺の血液を冷やし、体の中の熱を下げていくというものです。

(宇治徳洲会病院・救急総合診療科 三木健児副部長)
「搬送から約1時間で目標としている体温39℃未満に到達しています。入院2日後に意識を取り戻されて、人工呼吸器離脱。徒歩で退院されています」

ただ、こうした治療にも多くの医療従事者の手が必要になります。三木医師は熱中症の搬送が増え続ければ人手不足はさらに深刻になると訴えます。
(宇治徳洲会病院・救急総合診療科 三木健児副部長)
「コロナウイルス感染症が増えてきていますので、この予防というのは非常に難しいと思います。一方で、今増えてきている熱中症というのは環境要因を伴う疾病ですから、熱中症の予防に努めてもらえればですね、熱中症で救急搬送になるという患者さんは減ります。例えば脳卒中であったりとか心筋梗塞であったり、そうした重症の患者さんにしわ寄せが来ない。私たちも本来すべき救急医療が提供できますし、みなさん熱中症の予防に努めてほしいと切に願います」