大阪市の試算『介護保険料は2040年に9900円程度』
こうした状況の中、数十年先の介護保険制度はどうなるのでしょうか。65歳以上の要介護(要支援)認定者数は、今後の予測で2040年度には843万人という試算も出ています(厚生労働省の資料より)。
気になるのはやはりお金の部分です。大阪市では今回9249円という金額が出ましたが、市の試算では2040年に9900円程度になるということです。これは年金などから納めてる方が多いので、そもそも年金額が少ない、だけど介護保険料もどんどん上がる、物価も高くて生活が苦しいといった状況が、今後も抜本的な改革がないと続いていくのかもしれないという数字です。財源をどう確保するか、現在は50%が税金ですが、そこをもしかしたら大きく変える必要が出てくるのかもしれません。
結局は『健康寿命を延ばす』ことが大切?
この上がり続ける介護保険料、対策はあるのでしょうか。例えば、所得ベースではなくて、持っている貯金や金融資産を基準にして支払う額を決めるのはどうかという意見がよく出ていますが、北星学園大学の安部教授に聞いたところ、高齢者のタンス預金まで把握することはできないので難しいということです。
では、対策としてどんなものがあるのか。安部教授によりますと、例えば現在40歳以上の納付開始時期を30歳以上や20歳以上に引き下げる。つまり、若い世代からもっとお金を払ってもらう、こういう案も実際のところ出ます。一方で、若い世代にとっては介護と言われても40年50年先の話というイメージもあり、負担に納得してもらえるか非常に難しいといいます。
八方塞がりな状況ですが、何か私たちにできることはないのか、さらに安部教授に聞いたところ、1人1人が健康寿命を延ばすことだと述べていました。そんなことかとなりそうな気もするのですが、実は体の不調を早期発見・早期治療をすることで介護保険のサービスを受ける側ではなく労働力になり、支払う側に回るということです。ですので暴飲暴食しないとか、1人1人が健康的に年をとるということが、国の財源を大きく支えることにつながるかもしれません。