どんな犬でも出演できる?俳優犬に必要な要素

ドラマや映画に出演する動物を観て、いつかは我がペットも!とうっすら希望を抱きながら、「いや、ウチのペットに演技なんてとてもとても…」と諦めてはいないだろうか?きっと特別な才能があるうえに訓練をされているはず…と思いきや、細波氏から驚きの事実が語られた。「ライズも所属している動物も、みんな一般のご家庭で育てられている普通のペットなんです。別にみんな特別な訓練を受けているわけではないので、そこは皆さんに知ってもらいたいですね」。

細波氏曰く、一番大切なのは小さい時から正しい知識をもって育てていくこと。「よく『ウチのコはできないわ~』って言われるんですけど、たぶんできるんです(笑)。時々もともとの性格上、出演は難しいかもと思うケースもありますが、基本的には育て方次第。飼い主さんがペットとどれだけ向き合って、いろいろなことを教えてきたかが大事になってきます」と、改めてペットと向き合う大切さを教えてくれた。

ライズは、細波氏の愛犬というわけではなく、飼い主さんがいるという。「ライズとは一緒に住んでるわけではないですし、普段は全く会っていません。撮影がある日にしか会っていなくても、ちゃんと指示を聞いてくれるんですよ。『どういうふうに訓練したらいいんですか?』と聞いてくださる方もいるのですが、私たちは特別な訓練はしていないんです。一般の飼い主さんが大切に育ててくださっているからこそ。ドッグトレーナーじゃないとできないわけではないんですよ」と微笑んだ。

実際に、この日ライズが撮影していた“吠える”シーンは、本番の5日前くらいに監督から相談があり、本番の朝に少しだけ練習。見事に本番までにハンドサイン(音や声を使わずに指示を出す技法)を覚え、完璧な演技を見せた。さらには休憩中、長谷川のハンドサインでもしっかり吠えていたという。

細波氏が働く事務所ではドラマの撮影があることを想定し、業界としては珍しくオーディションをするようにしている。「怖がりな性格の動物にとっては、こういう現場での撮影があるお仕事はかわいそうなので、オーディションで見極めるようにしています」と明かしてくれた。

「(犬が)途中で嫌になっちゃったりしないんですか?って聞かれますが、様子を観察しながらしっかりケアをしています」。一番は犬が楽しんでできることだと語る細波氏。そんな細波氏のおかげでライズも撮影現場を楽しんでいるようで、「撮影が始まった頃は、ずっと控室にずっといるのが普通だったのですが、最近はライズの方から甘えたクーンという鳴き声で「早く行こうよ!」って訴えてきて、皆さんが集まっている前室(スタジオ前の待機場所)に行きたがるんです」と控室での様子も披露してくれた。

取材が終わりスタジオに向かう細波氏を見送っていると、ライズを見つけ笑顔で微笑むスタッフたち。そんな1人ひとりを見上げてアイコンタクトを取るライズは、愛ある眼差しを一身に浴びながら、僕の出番だと言わんばかりにしっぽをぶんぶんと大きく振って、次の撮影に向かっていった。主要なキャストとして相関図にも載っているミルだが、果たして物語とどうつながっていくのだろうか…。