「老後を貧しく過ごす人たちと老後を楽しんでいる人たちがいると社会の調和を壊す」

世界有数のコンサルティング・ファーム『マーサー』が年金の“十分性”“持続性”“健全性”に基づいた「グローバル年金指数」のランキングを発表している。対象となった47の国と地域の中で日本は30位。6段階に分けられた下から2番目ランクCだった。
最上のランクAは4か国。4位イスラエル、3位デンマーク、2位アイスランド。そして1位はオランダだ。オランダの年金と日本の年金、何が違うのだろう?
オランダの大学で年金制度を研究するバウアー教授に話を聞いた。教授によるとオランダの年金は現役時代の給料の約7割に当たる金額(平均日本円で月額37万円)が支給されるという。

オランダ・マーストリヒト大学 ロブ・バウアー教授
「オランダでは9割の人が厚生年金(職域年金)に加入していて基礎年金と厚生年金の両方が支給される。(中略)日本ではどうかわからないがオランダでは年金をもらえる人ともらえない人で二極化にならないように気を付けている。老後を貧しく過ごす人たちと老後を楽しんでいる人たちがいると社会の調和を壊すことになりかねないから…」

オランダの年金システムも日本と同じ「基礎年金」と「厚生年金」の2階建て。「基礎年金」はこれも日本と同様、国民がみな加入して保険料を、現在の年金受給者に給付する「賦課方式」だ。保険料は収入の18%くらい。
だが、2階建ての2階部分「厚生年金」が日本とは大きく違う。日本では会社員だけが加入しているがオランダでは自営業者もフリーランスも含む。働く人の9割が加入する。保険料は職種によって異なるが公務員で10%くらいだ。さらに「基礎年金」のような「賦課方式」ではなく、自分が納付した保険料を老後に自分が受け取る「積み立て方式」なのだ。オランダでも少子高齢化は進んでいるが、「積み立て方式」によって日本ほどの影響はでないという。
オランダ・マーストリヒト大学 ロブ・バウアー教授
「年金基金には(厚生年金だけで)GDPの2倍ほどの積立金がある。私たちは非常に大きな貯蓄をしていてその大部分を年金として蓄えている。(中略)国民が高齢化すれば年金の支給開始の年齢も(自動的に)後ろ倒しになる(制度が法制化された)。この法律が施行された当時は(開始年齢は)65歳だったが、それから支給開始年齢は上がって(現在67歳から)、私が受給する頃にはおそらく68歳くらいになっていると思う…」














