竹刀にかける情熱

竹林の所有者である萩生正敏さんが加藤さんの人となりを聞かせてくれました。

竹林の持ち主 萩生正敏さん:
「初めて会った時はちょっと強面で心配したが、話していると竹刀について熱く語るもので、つい私も応援したくなってね」

竹林の持ち主 萩生正敏さん

加藤明彦さん:
「竹に負けないような竹刀作りたいですね」

竹刀にかける情熱は周囲の人たちにも伝わっていました。

1度に数百本切り出す竹は、工房で2年間乾燥させ、ようやく材料として使えるようになります。加藤さんの竹刀はフルオーダーメイド。重さや重心の偏りのほか、束の長さや直径はミリ単位まで客ひとりひとりの好みに合わせて作ります。

竹を大まかに削った後は「矯(た)め」と呼ばれる工程。4枚を隙間なく組み合わせ竹刀の形にするために竹を炙って真っすぐにしていきます。

加藤明彦さん:
「これが全てですね。こんなに曲がっているじゃないですか。これが真っすぐになるんですよ」

真っすぐになった竹(左側)

真っすぐになった竹を何段階にもわたって削り微妙な重さや太さなどを調整していきます。

加藤明彦さん:
「(出来上がった竹刀を)渡した時の嬉しそうな顔を見た時、やってよかったなって本当に思ったね。安い竹刀もいっぱい出回っているから。外国の竹刀で私の竹刀の3分の1くらいで売っているけど、でも高いものを買ってもらって使ってくれるという、この気持ちは一生忘れてはダメだとつくづく思いますね」