「トランプ2.0」株価への影響は!?

――11月の大統領選でトランプ氏が再選した場合、株価そして為替などへの影響は?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
株は上がるのでは。
エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
減税をやるとか言っているので株は上がる。トランプ氏は間違いなく株は追い風だと思う。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
「アメリカという国がますます強くなるようにしていく」とトランプ氏は言っている。
エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
口では言っているが、わからない。実際強くなるのか、もしくは最後の追い打ちをかけて、財政を完全に破綻させる可能性もある。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
株は、短期的には上昇と見ていいと思うが、為替がどちらに動くのかが今ひとつピンとこない。
エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
トランプ氏がきたら多分、短期的(大統領選直後)には円高に動くと思う。ただ長期的には、昨日ニュースで聞いたがトランプ陣営がFRBの理事長、議長を直接大統領の下に置くというFRBの独立性を削るような法案をいま作っているそうだ。もうすべて金融政策の決断は大統領に相談すべきだみたいな。それを実施したらもう多分トランプ氏は利下げとかQE(量的緩和)を要求する。それは基本、ドル安・円高要因。多分、段階的に起きると思う。最初は少し円高になって、トランプ氏がもし法人税減税を出せば、それが逆に世界からドルを吸収してしまうので、その時はドル高になって、最終的にQEにアメリカが移れば、トランプ氏の圧力で、またドル安になるという相場が結構、ボラティリティーがあると思う。ただトランプ氏が来たら(再選したら)、株は間違いなく上がる。

――最後に投資のプロから相場の格言。今日は特別ゲストのエミン氏から「株は本能の逆を行け」。実は、格言ではなくエミン氏の言葉だそうだが、これはどういう意味か。
エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
自分の「note」で「投資のメンタルシリーズ」というものを書いていて、個人投資家がよく陥るメンタルトラップや、よくやるミステイクで1つ大きなものは、特に個人投資家初心者は利益はすぐに利確するが損切りはしない。損は放っておく。これは人間の本能。人間というのは防衛本能の1つで、あまり損失を確定させたくない、逆に利益が出たらすぐに取りたいというのがあり、私達がもう10万年ぐらい前に森の中で生きてた頃の記憶というか、DNAレベルの話で、人間が甘いものが好きなのもそれと似ていて、昔は甘いものがないから見つけたらすぐに食べる。それと一緒で、すぐ利確したがるのだが、一方で本当に損切りはすぐやらなくてはいけないのにやらない、つまりこれは人間の本能なので、本能の逆にいかなくてはいけない。つまり損切りは早めにやって、利確は我慢しなくてはいけない。放っておかなくてはならない。なぜかというと、日本には「利確千人力」という言葉もあるが、それをやると長期の株価の恩恵を受けられないと思う。例えば日経平均3万3000円で買って3万4000円で利確したら、4万1000円まで取れなかった。でもみんなはこう思う。「いや、また上がってたらまた入ればいい」。入らない。それもまた本能で、価格覚えがあるので、高いと思ってしまう。自分が最初に買った値段より上がっていると、高いと思って入らない。指をくわえたまま倍に、3倍になっているのに、10%で利確しましたって馬鹿馬鹿しくて仕方ない。だから利確は我慢する。損切りは早めにやる。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
NISAで始めて、今下がってきて、ここでやっぱ損切りした方がいいのか。
エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
いや、積立は関係ない。積立は貯金みたいなもの。だからこれはアクティブに投資している人の話をしている。相場で、いろんな株を売り買いしている人たちのためのアドバイス。デイトレーダーとかヘッジファンドとか。積立は貯金。保証する。こんなインフレ状態で、株の価格が下がることは長期的にありえない。基本的にインフラが起きている国で株というのは、どの国も1000円入れたら1100円戻ってくる「両替機」。だから、それは気にしなくていい。アクティブにやっている人、自分がファイヤーしたいぐらいのお金を稼ぎたいとかという人は本能の逆を行かないと勝てない。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
なかなかそれが難しいということか。
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エミン・ユルマズ氏
トルコ・イスタンブール出身
野村証券の投資銀行部門などを経て、現在エコノミスト・為替ストラテジスト