三浦龍司が予定通りの走り、織田記念でパリ五輪代表内定の可能性も
三浦龍司にとって「感覚と実際の走り」が一致したことが収穫だった。三浦が金栗記念でトラックシーズンをスタートさせるのは、順天堂大の学生だった昨年までと同じパターンだ。
「ここの1500mは毎年ルーティーンにしていますが、社会人1年目の1レース目なので、気合が入っていました。まずまずの走りだったと思います」
昨年は3分41秒82で2位。3月28日のSUBARU入社会見時には「それより少し速いくらいのタイムになればいいかな」とコメントしていたが、3分39秒28とその言葉通りのタイムで走って見せた。
着順は2年続けての2位だったが、館澤亨次(26、DeNA)に敗れた昨年と違い、日本人間ではしっかり勝ちきった。3000m障害で世界と戦う武器となっているラストの強さも、しっかりと確認した。
「去年は少し動きのところで悪かったり、噛み合わないところがあったりしたのですが、それに比べると良かったと思います。動かすこともできましたし、タイムも目標はしっかりクリアできた。感覚と実際の走りが噛み合ってる状態なのかな、と思います」
もちろん金栗記念が良かったから、今シーズンが上手く行くと決まったわけではない。昨シーズンは金栗記念の感覚がいまひとつで、6月の日本選手権までは噛み合わない部分があった。しかし日本選手権直後のダイヤモンドリーグ・パリ大会で一気に日本記録(8分09秒91)までタイムを伸ばし、8月の世界陸上ブダペスト大会で6位に入賞した。
「この大会が良かったからといって、今シーズンの出来がどうなるか、まだ分かりません。そこは自分の今年の調整次第かなと思います」
次戦は4月29日の織田記念。例年は5000mに出場していた大会だが、今年は本職の3000m障害に出場する。三浦は世界陸上入賞者なので、今年に入ってからのパリ五輪標準記録(8分15秒00)突破で五輪代表に内定する。標準記録にこだわって出場するわけではないが、金栗記念の走りを見ると、三浦が織田記念で代表を決める可能性は7割程度あると感じられた。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















