■米政策金利引き上げも市場は株価大幅上昇

また、FRBは7月27日、政策金利を2ヶ月連続で0.75%引き上げることを発表した。アメリカが直面する歴史的なインフレを抑制するために金融引き締めを継続した格好だ。一方でパウエル議長は今後の利上げ幅を緩める可能性を示唆した。

パウエル議長の発言のポイントは3つだ。①現時点では景気後退していない。②次回の会合でも異例の大幅利上げが適切になる可能性がある。③引き締めが進むにつれ経済やインフレ率に対する影響を評価しつつ、利上げのペースを落とすことも適切になるだろう。3つ目の「利上げのペースを落とす」に市場が反応し、パウエル議長の発言後、3日続けてアメリカの株価は大幅に上昇した。IMFの見通しのように世界的な景気後退の懸念もある中、米市場はそれを無視しているかのようだ。これはなぜなのか。

りそなアセットマネジメント 黒瀬浩一氏:
現時点ではまだ景気の後退まではいかず、減速の見通しにとどまっています。そして、物価が経済から遅れて動く遅行市場ということを考えると、むしろ景気の減速は望ましいというふうに見られているわけです。往々にして相場の転換点、金融引き締めの最終局面では不定期の株高という現象がよく起きます。確かに足元の景気は悪いが、金融政策が引き締めから緩和に転換することで株価の局面も下落から上昇に変わるのではないか、この期待感が株価を持ち上げていると思います。