利用しづらかった人と“不動産会社をマッチング”

山内あゆキャスター:
今回取材した不動産会社では、二人が入居可能な物件の場合、家族・兄弟・夫婦など、法的な関係性のある人の方が契約に結びつきやすく、同性カップルの場合は審査に通らないこともあったということでした。

そして、パートナーシップ、つまり結婚に準ずる宣誓をしていたとしても、オーナーの意向で断られてしまうケースもあるということです。

ただ、こうした中、同性カップルでも部屋を借りやすく、という動きは増えてきています。

不動産情報サービス「ライフルホームズ」が運営している「FRIENDLY DOOR」というサービスがあります。

ホームページでは「外国籍フレンドリー」、「高齢者フレンドリー」、「シングルマザー・ファザーフレンドリー」などが選択でき、「探す」というボタンがあります。

つまり、今までいろんな理由で賃貸が利用しづらかった人を不動産会社とマッチングするものです。

この中の一つに「LGBTQフレンドリー」というものがあり、情報掲載数は全国で約3700店舗です。

「探す」ボタンをクリックすると、全国の地域が出てきます。地域をさらに選択すると、LGBTQフレンドリーな不動産会社を見つけられるというシステムになっています。

さらに、不動産会社「IRIS」は、首都圏や関西を中心に、過去5年で2300名以上のLGBTQ当事者が相談に訪れ、契約にも結びついているそうです。

不動産会社「IRIS」 代表取締役CEO 須藤啓光さん
「不動産業者の中でも、現状を知らない人がまだまだ多い…」

前提として「属性で人を見ない」

井上貴博キャスター:
民間企業も、自治体も、確実に取り組みが進んでいて、とてもいいことだと思います。

ただ、どうしても法律などを考えると、「結婚」というものが異性間でしか認められていない。そこで多くの方々が不自由な思いをされる。でも、何か特別なことを求めているのかというと、全然そんなことない。求めているのは、住まいも、相続も、各種サービスも、当然の権利です。当然の権利があって当たり前なのでは、と思います。

田中ウルヴェ京さん:
そう思います。婚姻制度においては、それこそ「異性カップルと何が違うんですか」、としっかり冷静に論じてみようとすれば、何も変わらないことになるわけですよね。そこは議論の対象に絶対にしなければいけない。

やはり気をつけたいことは、属性で人を見ないということですよね。「女ってこうだよね」、「日本人ってこうだよね」と一緒で、例えば、「LGBTQの人ってこういう人でしょ」じゃない。1人1人が違う。行動で違う人もいるかもしれないけれども、同じ属性でいるわけで、やはり属性で見ないを前提として、何ができるか考えたいですよね。

ホラン千秋キャスター:
部屋を貸す側も、LGBTQの方、高齢者の方、外国人の方がリスクと言ってるわけではないんですけれども、様々なトラブルを避けたい、安定的に部屋を貸したいなどがある。なので、オーナーとして決めなければいけないところは決めない、という現実もあると思います。

どうしたら、トラブルやオーナーが感じているリスクを気持ち的に減らしていけるのかシステムを作らなければいけない。

いろんな調整がまだまだ必要だと思いますけど、最終的にはそれぞれが自分たちらしく生きられるような世の中を整備してほしいです。そういう整備を国に求めたいですね。

<出演者プロフィール>
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶応義塾大学特任准教授
アスリートの学び場「iMiA(イミア)」主宰