「迷いに迷って」…今野さんの決断
津島地区の住民が国と東京電力を訴えた裁判で、原告団長を務める今野さん。家をどうするか、決めきれないまま、3月11日、裁判に臨みました。

「生きがいを感じて平穏に暮らす国民・住民の人生を奪い、ねじまげ、苦しみを与え続ける責任は極めて大きなものです」。法廷で、国と東電に対し、こう訴えた今野さん。この時を境に、気持ちに変化が芽生えました。
今野さん「仙台高裁の控訴審で、原告意見陳述したんですね。話しているうちに、心のモヤモヤがある意味で整理されたんですよね」
春の彼岸の3月20日。今野さんは、古い家に集まったきょうだいたちに伝えました。
今野さん「きょうだいにこの家を残すことにしたと改めて伝えました」
今野さんは、解体を申請せず、自宅を残すことに決めました。事故前の暮らしにはほど遠い地域の現状や、子どもや孫への負担など、不安も多く残りますが、自分の気持ちに、素直に従いました。

今野さん「私自身も迷いに迷ったけども、最終的には残して、素直に自分の気持ちに従うというふうに決めました」
家に合わせて、大量の本も残す予定です。解体が進み、変わりゆく地域の中で、残されることが決まった築100年以上の大きな家。今後も人が集う場として、あるいは、津島の風景として、残り続けます。
今野さん「きょうだいが来る時に利用するのは当然ですけど、夏の暑い日なんかには時々来て、家の管理をしながら寝泊りするぐらいはしようかなと思っています」