■フランス「反セクト法」とは?判断する10の指標 “宗教”と“セクト”の違い

南波キャスター:
宗教団体という意味では、日本には▼法律の根拠、▼取り締まる根拠、▼反社会的勢力と認める根拠はありませんが、フランスにはこういった例があります。

1970年代、社会情勢が不安定になっていった中、旧統一教会がフランス社会に浸透していきました。そして1980年代、入信した子どもと連絡が取れないなど、信者と家族との間に問題が多発し、政治への介入なども取り沙汰されました。

そんな中、2001年に“反セクト法”が施行されました。宗教に反社会的な行為があるかどうかを判断するための10の指標を示すもので、実際に法律上で定義されています。

【フランス“反セクト法” 危険性の判断基準】
(1) 精神の不安定化を導く行為
(2) 法外な金銭要求
(3) 元の生活からの意図的な引き離し
(4) 身体に対する危害
(5) 子どもへの教えの強要
(6) 反社会的な説教
(7) 公共の秩序を乱す行為
(8) 重大な訴訟問題
(9) 通常の経済流通経路からの逸脱(高額な物品販売など)
(10) 公権力への浸透の企て

この基準に該当すれば取り締まれる、解散させる法的な根拠がある反セクト法が施行されました。

この反セクト法の効果について、大阪大学大学院の島岡まな教授に話を伺いました。
「“反セクト法”が抑止力となり、旧統一教会による政治への介入などはここ数年報告されていない。日本でも宗教における“反社会的な行為”とは何かを定義する指標を作るべき」



井上キャスター:
信教の自由、宗教の自由はもちろんあるわけですが、法律をどう制定していくのか。

田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
旧統一教会の話が出始めたときにフランスにいたので、この話をフランス人の方々とする機会がありました。そのときに感じたのが、“宗教”“セクト”の違いをしっかり学ぶということでした。どの宗教を信じようと自由だということが前提にある中で、セクトとはどういうことなのかをみんなで話し合いのテーブルに持っていくのがこの10条です。これがあるとみんなで考える機会が持てるので、日本でも何らかの決まりがないと話し合いすらできないと思います。

井上キャスター:
旧統一教会が名称変更したのも知りませんでしたし、その時なぜマスコミは全く報じなかったのか、メディアの責任も大きいと思うんですよね。

田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
うやむやにしないことが一番大事だと思います。