睡眠不足、不登校のきっかけに 行けても集中できず

──思春期で体内時計がずれることによる不具合はあるのですか。

「まず、学校に行けなくなることがあります。思春期で不登校になる学生の多くが、朝起きられないこともきっかけにもなっています。

どうしてかというと、元々夜型だった子どもが、年齢によって夜型になると、いつまでたっても夜に眠くならないんです。朝また学校があるから起きなきゃ、と分かっていても眠くなりません。

朝は起きられません。遅刻しがちだったり、午前中は行けなくなったりして、だんだん学校に行きたくなくなってしまうことがあるんです」

──意図してサボるわけでなく、起きられなくて行けないということが起きうるのですね。

「この状態は、言ってみれば睡眠リズムの障害なんです。

『睡眠相後退症候群』という名前もついていますが、睡眠リズムが遅れてしまうことで生活に適応できなくなる、という状態になっている子どもが実は多いです」

──考えてみたら、学校はどこも朝が早いですよね。子どもの生活は基本的に朝型に合わせたスケジュールになっています。そうすると、夜型の子どもはかなりハンデを負っていると思った方がいいんでしょうか。

「ハンデだと考えた方がいいです。夜型は、本当は朝遅く起きた方が調子がいいので『せっかく努力して早く起きても、学校の1時間目も2時間目もほとんど頭が働いていない』と訴える子どももいます。

夜型の子どもが朝型の生活に合わせるのは困難で、苦労します」

──睡眠不足で勉強を頑張るのは、相当大変なわけですね…。

「勉強だけではありません。睡眠不足で、問題行動が多くなる、認知能力が低くなるなどの影響も起こりえます

日本の調査でも、睡眠不足の子どもは感情的にも不安定で、イライラを募らせています。

逆によく眠っている子は良い子になるんです。やるべきことができるようになる、暴言・暴力が減少するといったことがありえます」