岡山県鏡野町に、熱心な愛好家が足を運ぶ「知る人ぞ知る美術館」があります。展示されている作品を制作した芸術家たちにはある共通点が…館長の男性は数十年をかけ集めたコレクションの数々を「作家に対しての責任を果たしたい」との思いから展示しています。
半生をかけて集めた貴重なコレクションを展示

(記者)「総額どれぐらいかかっているんですか?」
(かがみの近代美術館 辻󠄀本高廣館長)
「家庭の事情がいろいろありまして、ちょっと言えないですね…」

美作三湯の一つ奥津温泉にあるかがみの近代美術館です。

ここには館長で美術コレクターの辻󠄀本高廣さんが半生をかけて集めた貴重なコレクションの数々が展示されています。


(かがみの近代美術館 辻󠄀本高廣館長)
「四谷十三雄さんの作品です。この方は25歳の時に初個展をすることになりまして、初個展の時って案内のはがきを刷りますけれど、それを業者に受け取りに行って横断歩道を歩いていてトラックにはねられ亡くなられた。初個展が遺作展になってしまったと。「そのまま生き続けていたらどんな作家になっていたんだろう」そういう思いを巡らしながらいつも作品を見ています」
実は辻󠄀本さんは若くしてこの世を去った「夭折(ようせつ)の画家」コレクターなのです。
(かがみの近代美術館 辻󠄀本高廣館長)
「最初のうちは美術館に展示されているような有名な画家に興味を持ちまして…」

学生時代から芸術作品が好きだったという辻󠄀本さん。出身地の奈良県で金融関係の仕事に就いた後憧れの作家の作品を購入するコレクター人生が始まりました。

高い絵画は買えずスケッチなどが中心でしたが手元に巨匠の作品があることが純粋に嬉しかったといいます。しかし次第に違和感を抱くようになりました。

(かがみの近代美術館 辻󠄀本高廣館長)
「なんかちょっと違うなと。給料をはたいて有名な方の小さな作品を買っても、美術館へ行けば大きな作品がみられると。なにも私が無理して買うのは違うなと」