9人で作る“ムラの鐘馗様”

阿賀町鹿瀬(かのせ)地域にある夏渡戸(なつわど)集落です。
すぐ脇を阿賀野川が流れ、6世帯11人が暮らす小さな集落では、3月9日に鐘馗様づくりが始まりました。

もともとは集落で採れた稲わらを使って作っていたということですが、わらが集められなくなり、地元の酒造会社から譲り受けた稲わらで鐘馗様を作っています。
鐘馗様に使う稲わらは長さを必要とするため、手で刈る必要があることから、酒造会社が酒米として手刈りし、はざかけした稲わらを提供してもらっているのです。

この日は夏渡戸の住民と、夏渡戸出身の人の合わせて9人が作業に当たりました。50代から80代まで、協力して鐘馗様を作ります。

集落の区長を務める江花一実さん(62)は「様々なパーツ作るのが大変で、思い出し、思い出しながら…。昔の人はね、毎日“冬仕事”でわら仕事をやっていたから、熟練で早いんですよ。我々は1年に1回しかしていないから、大体忘れます。でもね、私なんか40年やってますから、頭で覚えてなくても、手は覚えているんですよね」と話します。

稲わらを編んでパーツを作り、大きなわら人形に組み上げていく…
なかなか根気のいる作業ですが、みなさん笑顔で作業に当たっています。

実は、この夏渡戸集落ならではの『鐘馗様』の特徴があるのです。