患者の命を預かる看護師。その大きな使命を持つことで、長年、過重な労働が問題視されています。そんな中、看護師の残業を減らそうと本腰を入れて取り組む病院があります。命と向き合う現場で実現する働きやすさをどう両立させることができるのでしょうか。
長年変わらない看護師の労働環境
(1997年の取材)
「もしもし、看護婦110番です」
30年近く前から続く、看護師の労働環境を見直す動き。
労働環境の改善を訴える看護師
「人員が不足すると休みが取れなくて、休みが取れないと疲労が溜まって、患者さんに質の高いケアができなくなる」
高齢化に、加速する人手不足など、県内の看護師を取り巻く環境は長年変わっていません。
そんな中、労働環境の改善に積極的に取り組んでいると聞いて訪れたのは八重瀬町の南部徳洲会病院。
1か月に新たに入院する患者はおよそ750人、外来患者は1万6千人を超えるこの病院。ひと際目を引いたのは、看護師たちが身に着けるこの色鮮やかなユニフォームです。
南部徳洲会 松本彩香看護師
「洋服の色が変わったことによって、先生の指示受けが変わりましたね。ギリギリ言われちゃうと日勤さんに引き継ぐのも申し訳ないしで、結構自分たちで残業して帰ることが多かったんですけど」
業務の中でも特に負担となっていたのが、夜勤を終えたあとの残業。
南部徳洲会 松本彩香看護師
「準備終わってるので、日勤さんで対応お願いします」
日勤の看護師への引継ぎや、患者データの記入など命に関わることだからこそ、どれも無くすことができない業務。そこで取り入れたのが、このユニフォーム作戦。日勤と夜勤のユニフォームの色を変え一目で区別することで、退勤時間以降の業務の依頼を減らそうというもの。
看護師 竹内ひなのさん
「時間に区切りができたのは確かだと思います。同じユニフォームだとドクターの指示とか、先生たちもどっちがどっちか分からないので声かけたりとか。でももちろんそれを無視するわけもなく、患者さんのことなので」
こうした取り組みは『働きがいも、経済成長も』という、SDGsの目標につながっています。しかし一方で、命に向き合う現場での仕事には、まだまだ改善を必要とする面が残されています。