27日に行われたサッカーEAFF E-1選手権、決勝大会の3試合目。韓国に3-0で勝利した男子日本代表は、2013年以来となる9年ぶり2回目の優勝を果たし、森保ジャパンとしては初のタイトル獲得となった。
2試合目の中国戦でゴールを決められずスコアレスドローに終わった日本は、1勝1分の2位。対する韓国は2連勝。引き分けでも優勝が決まる韓国に対し、日本は勝利が絶対条件。つまり、ゴールを奪わなければいけない状況だった。だが、大きな壁が日本代表に立ちはだかっていた。
それは連携面。このE-1選手権という舞台は国際マッチデー期間外に設けられているため、近年の日本代表メンバーの大半を占める、いわゆる”海外組”を招集することができない。そのこともあってか、今大会は同じチームから複数の選手を招集する動きも見られたが、全体を通して見れば、同じチームでサッカーをするというのはもちろん、互いに会話をするのも初めての選手もいるといった状態。言い方を選ばずにいうと「寄せ集め集団」である。
さらにチームの始動日は今月17日、発足からわずか11日という非常に短い期間で日韓戦の大一番に臨まなければならなかった。
そんな優勝決定戦だったが、終わってみれば3−0。韓国は強みである体の強さを武器に”ゴリ押し”サッカーで攻めてくる。しかし日本は組織的な守備でシャットアウト。さらに攻撃面では急造チームらしからぬ連動した動きでゴールを奪った。スタメンこそ横浜F・マリノスに所属する選手が6人名を連ねたが、無論、サッカーは11人でやるスポーツ。森保ジャパンは短期間でチームを作り上げることに成功したと言っていいだろう。
森保一監督(53)は試合後の会見で「ピッチ内外でコミュニケーションを取ってほしい。なんとなくの情報をお互い持っているかもしれないが、プレーを要求しあってお互いの特徴を知ることに努めてほしい」と大会期間中、選手たちに求めていたと明かした。
実際、チームキャプテンの川崎フロンターレDF・谷口彰悟(31)は「チームにならないといけないということは皆にも話しましたし、とにかく色んなところでコミュニケーションをとってやろうよ、と呼びかけた。みんなで作り上げたチームというのを実感している」と充実した表情を見せた。
さらに「この大会の前に『チームの為に結果を出す』『自分の道を自分で切り拓く』というテーマを自分で決めていた」と振り返ったのは名古屋グランパスFW・相馬勇紀(25)。大会MVPに輝いた男にとって「かなり久しぶり」だったヘディングでのゴールは「藤田(譲瑠チマ=20、横浜F・マリノスMF)がボールを持った瞬間、マークについていた相手選手が自分から目線を切ったので、その裏を狙おうとした時に藤田と目が合った」という。一瞬で同じプレーイメージを共有できたからこそ生まれた得点だ。
また、サンフレッチェ広島のDF・佐々木翔(32)は、大会を通して無失点だった守備について、コミュニケーションの賜物だと感じている。「トレーニングの時からすり合わせというのは意識してやっていたし、ボランチやサイドの選手を含めどういった形でプレスにいくのか、はがされた時はどうするのか、細かいところまで、数多くコミュニケーションをとれたからこそ良い守備が構築できた」。
森保監督も「食事会場でも座るところが毎回変わっていましたし、ピッチ内でもお互いのイメージをすり合わせてくれた。コーチ陣には戦い方のイメージを持てるように練習をやっていこうと話し、ミーティングでは映像であったり資料を持ってそれぞれが素晴らしい仕事をしてくれた」。選手やコーチ陣に積極的な姿勢が見られたと評価する。
今年の11月に開幕を迎えるカタールW杯は例年と異なり、海外サッカーのシーズン中に開催されるため、直前の準備期間が非常に短い。
E-1選手権の経験はW杯に生きるのではないかと指揮官に問うと「心の準備はしています。このE-1選手権は集まって2日後に試合だったので、短時間で選手にイメージを持ってもらうことができるよう色んなチャレンジをしなきゃいけなかった。我々コーチ陣も選手へのチームコンセプトの伝え方にトライしました」と指導者側として様々な工夫をこらしていたことも明かした。
「寄せ集め集団」から始まったE-1選手権。選手、監督、コーチ達は短い期間でも濃い時間を過ごし、“チーム”としてまとまることに成功、タイトルを勝ち取った。
今大会のメンバーから9月の海外組を含めた代表合宿に連れて行きたい選手は出てきたかという質問に対し森保監督は「イエス」と答えた。多くの選手はしばらく青いユニフォームに袖を通すことはないかもしれない。それでもこのチームが残した成功体験は9月の代表戦、そして11月のカタールW杯に必ず生きてくるはずだ。
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