増え続ける近視の原因は電子機器だけでない

4月から小学4年になる佐藤レイカさん(仮名・9歳)は、ゲームもしない、テレビもほとんど見ない。しかし3年前、小学校入学直後に行われた視力検査で0.1以下の近視と診断された。

母親のナオミさん(仮名)は驚いたという。

レイカさんの母 佐藤ナオミさん
「かなりショックで、私の育て方に問題があったのかとか、遺伝的なものなのか、その原因的なものも気になった」

娘は、なぜ近視になったのか。ナオミさんは先端近視センターで、その理由を聞かされた。

ナオミさん
「基本的にインドアが好きで、とにかく本の虫というか、絵本を2時間3時間ずっと続けて読むような子だった」

実は近視には、ゲームやスマホなど電子機器そのものより、目と見ているものとの距離、そして見ている時間が問題なのだという。

本来は球体である眼球。しかし、成長期、本でもスマホでも、30センチより近い距離で長時間見続けていると、網膜よりも後ろになる焦点にあわせて眼球が伸び、近視となるリスクが高まることが分かってきた。

レイカさんは、いま、オルソケラトロジーという治療を行っている。
夜、寝る時に特殊な形状のハードコンタクトレンズをいれ、角膜を変形させることで、視力を一時的に矯正。翌日は、レンズを外しても裸眼で生活できる。

ナオミさん
「(レンズを)とった後に、この子が『見える』って言ったんですよ。私、その時すごい涙が出ちゃって。今まで見えない世界で生きてて、それが分からなかったんですよね。本人も多分びっくりだったと思うんですよ」

そして、この効果が眼球の伸びを抑制するという。

3か月に1度、レイカさんは検査で先端近視センターに通っている。

ここに通い始めた小学1年生の頃、レイカさんの眼球の長さは成人とほぼ同じ24ミリに迫る勢いだったという。

先端近視センター 五十嵐多恵 医師
「最初、7歳6歳の子にしてみれば、100人連れてきたら99番目くらい目が長かったんですが、今は90番目とか85番目くらいまで下がってきていると思うので、ものすごく治療の効果が出ていると思います」

レイカさんには角膜の炎症なども見られず、このまま治療を続けることになった。

先端近視センターで治療する子どもの数はすでに1700人を超えた。最前線の医師は言う。

先端近視センター 五十嵐 医師
「発症がすごく低年齢化していて、何もせずに放置して、そのまま受験とか頑張ると、恐らく10(最強度)近い近視になると思う。今までに経験していないことなので、それは大分、危機感はあります」

一方、トップダウンで近視政策を「国策」として強力に推し進めている国がある。