「息子が選挙運動で変な選挙違反にでも関わったら人生終わっちゃう」

一方、日本の政界で若手が伸びない理由として、グットマン教授は3つの問題を挙げた。

ひとつは出馬に必要な供託金300万円だ。得票率10%を獲得しないと没収される。

もうひとつは2週間という選挙期間。短い時間では、知名度のある現職が有利だという。そして、もうひとつはアジア地域の特性にあるという。

三重大学 ティエリー・グットマン教授
「東アジアということで(日本も)儒教の影響は強いでしょうね。“年上を尊敬する”日本ではどの分野にも年功序列的なものがあって…年上がリーダーになることは当然っていう文化…。“自分は若いのにこんな発言しちゃいけないな”という自己検閲が無意識にブレーキをかける…」

その中でも自民党は保守。儒教的な古い日本の影響を強く受けている政党だから若者が伸びにくいのだろうと、グットマン教授は語った。

立憲民主党の寺田議員は、若者が政界に進出できない理由のひとつに“地元づきあい”を挙げる。

立憲民主党・政倫審筆頭幹事 寺田学 衆議院議員 
「特に地元活動は、どこに顔を出した、お祭りに顔を出した、催事場に顔を出した、街頭に立っていた…そういうフィジカルプレゼンスをとにかく出さないと知名度向上につながらない…これが若い人たちに“政治、ムリ”って思わせている…」

自民党・政治刷新本部幹事 牧原秀樹 衆議院議員
「若者から意見を聞いた時に供託金を挙げる人は多かった。県議なら60~70万かな、でも国会議員は300万。比例も兼ねると600万円になる。自民党は党が出しますが、政党によっては自分で出せっていうところもある(無所属なら当然自腹)。20代は無理ですよね…」

そしてもうひと最近の傾向として、政治にかかわると大変な目に遭うかもしれないと敬遠する若者が増えていると、牧原議員は言う。

自民党・政治刷新本部幹事 牧原秀樹 衆議院議員
「かつては選挙運動に学生ボランティアに参加していただいたんですが、最近は親が断ってくる。“息子が選挙運動で変な選挙違反にでも関わったら人生終わっちゃうから”とか…」

共同通信 久江雅彦 編集委員兼論説委員
「いちばん大事なのは、投票率ですよ。1970年代までは若者の投票率も60%くらいあったんですよ。どんどん下がって今3分の1ですよ。被選挙権も(選挙権同様)18歳に合わせれば自分に身近な人が出るって、投票率も上がってくると思う…」

確かに日本の直近の総選挙でも、投票率は70代が72.3%なのに対し、20代は36.5%と低い。ところが、20代の投票率が実に82%という国がある。