「インスタントラーメン一本足では、いつか会社は衰退する」

―――社長になって掲げたスローガンとは?
ひとつは、「100年ブランドカンパニーへの挑戦」。これはカップヌードル、チキンラーメン、どん兵衛、U.F.O.などのロングセラーブランドや既存のビジネスモデルをどれだけ世界で大きく展開できるかという挑戦です。もう一つの「Beyond Instant Foods」は、今はない価値の創造を目指す意思表明です。インスタントラーメン一本足では、いつか会社は衰退していくでしょう。ですから、それを超えていくような新しい事業をつくり、新しい食文化を生み出さなければならない。そんなクリエイティブでユニークな企業になりたいと考えて、さまざまな取り組みをスタートさせているところです。
―――ファミリー企業であることの強みは?
非常に長い視点で物事を考え、戦略を実行できる点が強みだと思います。一般的な企業の場合、社長の在任期間は平均5~6年、中央値だと3年とも言われています。そうすると、短期視点で利益をあげないと評価されない。それに対して10年20年の視点で物事を見ることができるので、長期的な投資もできますし、長期的なビジョンに基づいた経営戦略をとることもできる。これは大きな違いだと思うので、武器として生かしていきたいと普段から意識しています。
―――ロングセラー商品をずっと輝かせる秘訣は何ですか?
チキンラーメンは、誕生から65年間、味がほとんど変わっていません。カップヌードルもそうです。一方で、テレビCMを中心としたブランドコミュニケーションは、時代に合わせて常に変化させる必要があります。CMが印象に残れば、お客さまが店頭に立った時にそのブランドのことを思い出し、商品を手にとってもらうことができる。面白いだけでなく、売上に繋がるCMを作れるかがポイントです。守るべきところは守りながら、変化を恐れずにブランドを進化させていく。これがいまの日清食品のマーケティングの根源と言えます。