新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者の急激な増加に伴い、社会生活にも影響が出始めています。
7月22日、政府が新対策として打ち出した「濃厚接触者の待機期間短縮」と「抗原検査キットの無料配布」は、今からピークを迎えるであろう第7波の、医療ひっ迫改善の手段となるのでしょうか?最前線で働く現場の医師・専門家に実情を聞きます。
■濃厚接触者の待機期間短縮 効果は?

これまで濃厚接触者の待機期間は、原則7日間で8日目に待機解除。4日目と5日目に抗原検査キットで両日陰性が出れば待機解除という形でした。それが7月22日以降、待機期間は原則5日間となり、6日目に待機解除。抗原検査キットで2日目と3日目に陰性が出れば待機解除と、2日短縮されました。
東北大学大学院の小坂健教授は待機期間の短縮について「短縮することはやむを得ないが、リスクはゼロではない」と話します。
東北大学大学院 小坂健教授:
オミクロン株になってから、ウイルスの排出期間は結構長いということはわかっていて、最大10日ぐらい。国内だと9日間くらいはウイルスが検出されるんです。ですから抗原検査キットで陰性であっても、日常生活を送るにしても“その間は気をつけてください”と徹底していただくことが必要だろうと思いますね。最大10日くらいは感染させる可能性はあるということで行動してもらうといいと思います。
■抗原検査キット 薬局「200個発注しても入ってくるのは10個以下」

自宅待機の人が増える中、抗原検査キットを求める人も増えています。赤坂周辺の薬局に取材をしたところ、7月26日時点で医療用の抗原検査キットの在庫があった薬局は20店舗中4店舗でした。
在庫がある薬局でも「200個発注しても入ってくるのは10個以下だった」と話していて、他の店では「いつ入るかわからない状態が続いている」との声も。薬局側もなかなか手に入れられない状況が続いているようです。
■家族が“コロナ”疑い・・・「抗原検査キットが手に入らない」

ひるおびでは、都内在住の一家(30代夫婦・子ども4歳)のケースを取材をしました。
7月22日金曜日の夜、妻が39度の発熱。翌23日にPCR検査を受けます。
夫は妻がPCR検査で陰性だった場合には週明け通常通り出社できますが、陽性の場合は抗原検査が必要となるため、抗原検査キットを入手しようとしました。
しかし、近所の薬局はどこも品切れ・・・。4店舗回りましたが手に入りません。
妻は、PCR検査の結果が出る前に23日の時点で解熱。発熱から3日経った25日の夕方、妻のPCR検査の結果が陰性だと判明しました。
結果的には“陰性で良かった”というケースなんですが、男性は「もし妻が陽性だった場合、抗原検査キットもなく、どうしたらよかったんだろう」と話していました。
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長:
こういうケースが今非常に多くて、医療機関は(抗原検査キットを)備蓄してるところもあるんですけども、一般の方々は市販の抗原検査キットを手に入れにくくなっていて、本当に電話での問い合わせなどが殺到している状況ですね。

恵俊彰:
濃厚接触者にあたる皆さんの抗原検査キットがない。となると、待機期間が7日から5日になって、2日目・3日目に検査して陰性だったら待機解除でいいですよ、となっても、それすら今実際(検査)できないと。
ジャーナリスト 大谷昭宏氏:
政府は増産体制をとるとは言ってますけども、間に合わないとどうしようもないわけですよね。結局出社できないということになれば、(待機期間を)短くしたところであんまり意味がない。発熱外来に来る方々を少しでも減らそうという対策をとっていても(抗原検査キットが)なければ、やはり発熱外来に行ってしまうという可能性があるわけです。
恵俊彰:
抗原検査キットで調べて待機期間をより短くしましょうという作戦は、(抗原検査キットが)潤沢にあるという前提で行われるわけで、無いとなると(待機期間が)短くなるということは現実的にはないということになるんですか?
小坂教授:
そうですね。2週間くらい前にもう十分確保されてると聞いていたんですけど、やはり今感染者が急増していて、医療機関に優先して配布しているということもあると思うので、一般の方が手に入れるっていうのは、一時的にはすごく難しい状況が続くのではないかと思いますね。